400万円の費用削減見込む
賃貸管理や仲介を行うアンビションDXホールディングス(東京都渋谷区)は、入居者対応AI(人工知能)サービス「Property(プロパティー) AI」を開発し、自社の賃貸管理業務で活用。コールセンターでの対応件数を減らすことで経費削減につなげる。9月27日からは他社への提供を開始した。
Property AIは、「LINE」またはウェブサイト上で、入居者からの問い合わせに対して自動応答するAIサービス。コールセンターや管理会社への問い合わせ前の一次対応を担うことで、対応工数と費用の削減を図る。
同サービスの強みは、不動産賃貸管理業務に特化していることだ。回答の精度を高めるために、採用する生成AIモデルとデータについても工夫した。生成AIモデルはグーグルが提供する「Gemini(ジェミニ)」を採用。質問の内容によって回答を生成するものと生成しないものに分けている。
生成AIが誤った回答を生成することによる事業リスクを低減させたうえで、入居者により正確な回答を届けられるようにしている。
DX推進室の鈴木隆大セールスマネージャーは「導入前の2021年12月1日~22年11月末の1年間でコールセンターへの問い合わせが前年比で約30%上昇していた。23年12月からのPropertyAI導入後は、前年同月比でコールセンターの入電数を最大20%削減した」と話す。費用削減効果は年間約400万円と試算している。
今後は、機能の拡張も予定する。多言語対応や画像・音声の対応などを開発中だ。
自社での活用だけでなく、ほかの管理会社での利用も進めていく。
同社の約20年にわたる賃貸管理業で蓄積してきた想定質問のフォーマットを導入企業へ提供する。一般的な汎用型チャットボットサービスと比較して導入に係る工数が少ないという。
サービスの運用中も同社の実務経験を生かして、回答の精度とサービスの利用を向上するアドバイスを行うなど、継続的にフォローをする。
月額料金は5万円(税込み)から。問い合わせ件数が500件を超えると、500件ごとに追加で1万5000円の従量課金となる。
Property AIはすでに大手管理会社など数社が導入を検討しているという。導入企業数について、24年度は20社、27年度までに100社を目指す。
(2024年10月21日2面に掲載)