宅建業者向けに、売却物件獲得のコンサルティングなどを手掛けているのが南勝(大阪府大阪市)だ。大手に比べ、「売り」の獲得が難しい中小の仲介業者にさまざまな営業支援を行うだけでなく、「全国おうち売却相談窓口」という名称で、物件を売却したいユーザーと事業者を結ぶウェブサービスも展開している。
スピード、建物診断、プレゼンが鍵
一括査定を攻略
2011年、大阪府大阪市に設立した南勝。もともとは建物調査を中心に成長してきたが、現在は仲介業者や個人に向けた不動産コンサルティング事業やサポート事業を柱に据える。一級建築士の資格をもつ印南和行社長は、登録者10万人のYouTubeチャンネル「YouTube不動産」を運営する人気ユーチューバーでもある。動画には自らが出演し、視聴者に正しい住宅、不動産の知識を届ける。
同社が現在もっとも注力するのが、中小の仲介会社の社員などを対象に、売却物件の獲得ノウハウを指南するコンサルティングサービスだ。現在、クライアントは50社にのぼる。
「仲介業者は、購入か売却かでいえば、確実に売却物件を取るべきです。『買い』は基本的に他社の預かった物件を売るので、囲い込まれることもあります。でも『売り』は自分で調整でき、うまくいけば両手取引になる。しかも、販促に対して5人の問い合わせが来たら、1人にしか売れなくても、それ以外が見込み客になります」(印南社長)
そのために、仲介業者への研修でまず伝えるのが、一括査定サイトとの賢い付き合い方だ。一括査定サイトとは、不動産を売却したいユーザーが案件を登録することで、複数の仲介業者とコンタクトが取れるサービス。家を売りたい人は一社一社に査定依頼を出す手間が省け、仲介業者側にも、サイトに登録して利用料を支払えば見込み客を集められるメリットがある。一方で、競合するためサイトを利用しても訪問査定までもちこめない、専任が取れないという悩みを抱える業者も少なくない。
しかし印南社長は、そうした悩みは「一括査定サイトの使い方次第。分かれば勝てる」と語り、そのためのポイントを3つ挙げた。