民泊・ホテル向け、自治体との連携視野
利用事業者5万超
スマートホームソリューションを開発するmui Labは、スウェーデン発の見守りセンサー「Minut(ミニット)」の国内正規販売を開始した。Minutは、カメラを使わずに室内の状況を見守るデバイスで、世界100カ国以上で5万を超える施設運営事業者に利用されている。
映像を使用しないため宿泊客のプライバシーを守りながら、騒音や人の動き、温湿度、たばこの煙を検知できる。工具不要でWi―Fi接続によるセットアップに対応し、4時間の充電で最大12カ月使用できるバッテリーを内蔵。配線工事なしで設置できるほか、風音を抑える技術により屋外での運用にも対応する。
Minutの特徴の一つは、管理者が常駐しない民泊などで発生しやすい、騒音トラブルの防止や早期対応を可能にする点だ。55~90デシベルのうち、事前に設定した騒音レベルが一定時間継続した場合のみ異常として検知。突発的な生活音は通知対象から除外する仕組みだ。異常を検知すると管理者へ自動で通知するとともに、宿泊者へ自動音声やSMSで注意喚起を行う。実証実験では騒音トラブルを平均13分で解決した実績がある。
測定した数値を基に対応できることから、管理者が出動する負担の軽減にもつながっているという。
プロダクトマーケティング部の林玲美氏は 「管理者が現地へ駆け付けなくても、客観的なデータを基に迅速に対応できる環境を整えたい」と話す。
騒音を測定した際の管理者画面
音声やSMSを自動で発信
主な利用者として想定するのは民泊事業者だ。国内には約4万件の民泊施設があり、管理者が常駐しない施設も多いことから、遠隔管理への需要は高いという。Airbnbとも連携し、管理者システムの宿泊者情報を基に宿泊者へ自動で通知を送ることができる。ホテルや旅館、レンタルスペースのほか、物件価値の維持や近隣トラブルの防止を図りたい不動産管理会社や賃貸オーナーへの提案も進める。価格は要相談だ。
地域との調和重視
自治体や行政機関との連携も視野に入れる。住宅宿泊事業法に基づく民泊施設において、観光庁はICTを活用した適切な遠隔管理を推進している。遠隔管理の検討過程ではMinutが活用事例の一つとして紹介された。観光に力を入れる全国の自治体と連携し、騒音データを活用した宿泊施設の適正管理モデルの構築を進める予定だ。
「一律に営業を規制するのではなく、客観的なデータを基に適切な管理を評価できる仕組みを広げていきたい」(林氏)
インバウンド(訪日外国人) を受け入れながら、宿泊事業者と地域住民が無理なく調和し、共生できる環境をテクノロジーで実現していく。
2017年創業のmui Labは、上場する印刷会社NISSHAの社内ベンチャーとして発足。19年にMBO(経営陣が参加する買収)によって独立した。木製スマートホームコントローラー「muiボード」をはじめとしたスマートホームプラットフォームを開発する。
今回のMinutの国内販売を機に宿泊市場へ本格参入。住宅分野で培ったスマートホーム技術を宿泊施設にも展開することで、安全・安心な施設運営と地域との調和を支えていく考えだ。
(2026年8月24日37面に掲載)





