LIFULL(ライフル:東京都千代田区)は、同社が展開する定額制多拠点居住サービス「LivingAnywhere Commons(リビングエニウェアコモンズ:以下、LAC)」でファミリー層の利用が拡大している。その結果、ファミリー層が全体の約2割を占めるにまでなった。
ファミリー層が2割
同サービスは、2019年7月に開始し、4月12日時点で49拠点を展開している。会員数は非公開だが、23年1月時点で22年同月比、50%以上増だという。
会員数増加の背景には、テレワークや大学のオンライン授業の普及がある。LAC設立当時の事業責任者の小池克典氏は「拠点数が増えていることもあるが、テレワークというライフスタイルが徐々に浸透している影響を感じる」と話す。
LACの主要な会員は20~30代で全体の65%を占める。全会員の7割が単身者だが、ファミリー層も2割程度おり、増加傾向にあるという。
同社は自治体と提携し、非会員を含むファミリー層向けに2泊3日の親子ワーケーションを企画。21年11月から開始し、千葉県館山市や静岡県下田市、鹿児島県長島町などで計5回実施した。実際にLACの拠点で親は仕事し、子どもは地域ならではの体験プログラムを楽しめる。
同社は、ファミリー層が増加した要因について「お試し移住」のニーズがあるとみている。自然豊かな環境が子育てに与える好影響に加え、定額制のサービスのため、その土地に合わなくてもすぐに都心に帰ることができる点が好評だという。いきなり移住するのではなく、エリアの実態をつかむためにもお試し移住の用途でLACが利用されているとする。
「従来は都心での生活と地方移住は両極端にあったが、間の存在として多拠点居住が生まれつつある」と小池氏はコメントした。
今後はウェブマーケティングを強化し、LACの認知向上を図っていく。
(2023年4月24日14面に掲載)