独立行政法人都市再生機構(神奈川県横浜市、以下UR)は、今後のURの方針を示した骨子案ともいえる「超高齢社会における住まい・コミュニティーのあり方検討会」の中間とりまとめを発表した。全国約75万戸の大家であるURは入居者の4割が高齢者化している状況にある。来るべき超高齢社会での賃貸住宅の先進モデルの一つになっていくだろう。
内容は大別すると、(1)超高齢社会に対応した新たなライフスタイルやまちづくりのあり方(2)地域の医療福祉拠点としてのUR団地のあり方(3)UR賃貸住宅の自立型の高齢者向け住宅改修とUR団地・周辺地域への高齢者支援サービスの提供のあり方、の3点だ。(1)では、若者による高齢者の生活支援や、高齢者からの子育て世代へのアドバイスなどを行える多世代間交流「ミクストコミュニティ」の形成促進に注力していく。(2)としては、2020年までにURの持つ100団地で、医療・介護が必要になったときにも住み続けられる物件整備を行っていく。「終の住処」として、要介護度が高くなった場合の団地内での住み替えを可能にしていこうというものだ。(3)ソフト面を充実させるための環境整備の実施だ。見守りや生活相談などの支援が迅速に行える事業者選定など。
URは今回のとりまとめ案を先行して取り組んできた。学生に無料でシェアハウスを提供する代わりに高齢者の支援を依頼する埼玉県春日部市の武里団地。千葉県千葉市のグリーンプラザ園生では建て替えの際にできた敷地を利用し、訪問介護等を提供する事業者を誘致した事例がある。
住宅経営部ウェルフェア推進チームの久保明チームリーダーは「URはこれまで住宅の提供を主にしてきました。今回とりまとめたモデル実践のためには、自治体、自治会、医療・介護機関、生活支援サービス事業者などと連携して、いつまでも住み続けられるコミュニティを形成していきたい」と語る。URではこれまでの豊富な事例を生かし、今後1000戸規模、エレベーター付きで賃料帯の手頃な物件などを中心としてとりまとめ案を実践していく。