個人投資家の間で話題の金融機関がある。オーストラリア・コモンウェルス銀行だ。国内金融機関が不動産向け融資の引き締めを続ける中、区分所有物件を中心に融資を行う同行に投資家から熱い視線が集まっている。
日本人投資家を対象にした融資は、持ち家の取得または投資用区分所有物件取得時の融資を主とする。現状では大々的な広告宣伝活動は行わず、販売業者からの紹介が中心。融資最少金額の目安は1500万円、限度額は対象物件担保評価額の8割程度まで。融資実績は年間3桁に上り、「目指しているレベルに達している」(パーソナルバンキング営業部 高村博史部長)と順調に拡大している。
投資、持ち家取得など用途を問わず「日本居住用不動産ローン」として扱う。金利は毎月変動型で、1カ月ライボープラス2%が基準。借入期間は最長25年、完済時年齢65歳以内が条件となる。
「物件を複数購入したので、もう銀行から融資を受けることは難しい」
こんな不動産投資家の声を聞く機会は少なくない。日本の金融機関から借り入れしようとした場合、物件を買い進めていくうちに銀行側が融資を渋り始めることがある。同行の場合、こういったケースにも融資可能な場合があるという。
「審査の際に重視するのは、給与収入。勤務先からの給与または、別事業からの収入を見て、返済可能な範囲内と判断すれば融資します」(高村部長)
東京支店の開設は1986年。法人向けホールセールを主に展開してきたが、2008年5月にリテールへと転換した。北海道ニセコ町が観光ブーム沸く中、不動産購入希望者が増加したことを受け、オーストラリア人を対象にした不動産担保ローンを開始。その後、対象エリアが東京へと拡大、日本国内に3年から4年滞在するオーストラリア人をはじめ海外からの転勤者の住宅購入費用、収益不動産購入費用および所有不動産を裏付けとした不動産担保ローンへと発展していった。
日本人投資家を対象に本格的に融資をスタートしたのは、昨年6月ごろ。現在に至るまで、日本人富裕層の不動産投資、永住権のない外国人の不動産取得ニーズに対応している。