地主やゼネコンなどが対象
東京都は10月21日まで、地主やゼネコンなどを対象に、社会福祉法人に貸し付ける目的で、特別養護老人ホーム(以下特養)を建設する費用の補助金申請を受け付ける。
補助金額は地域と特養の収容人数によって異なるが、建設費の5割程度を補える。
たとえば、文京区で定員100人の特養(看護小規模多機能型居宅介護と認知症高齢社グループホームを併設)を建設する場合、9億2500万円が補助される計算だ。
特養は定員80~100人規模で運営するケースが一般的だ。
敷地面積は1500~2000㎡で、新築すると建設費は15~20億円が相場だという。
これまで特養は運営者である社会福祉法人が所有する建物でしか、運営が認められなかった。
厚生労働省が7月に特養の建物に関する要件緩和によって、地主などが所有する建物を社会福祉法人が賃借して運営することが可能になった。
そのため、都は建設費用の補助制度の対象を広げた。
要件緩和は全国が対象で、厚生労働省は都市部の特養が不足している状況を改善したい考えだ。
補助制度を設けているのは東京都のみだが、今後、全国の自治体にも広がっていくと考えられる。
地主にとっては、土地活用の新しい手段として特養を建て貨しをすることができるようになる。
特養のような福祉施設の場合、一般賃貸住宅以下の利回りになることが多いが、駅から遠い場所でも開発が可能だ。
個人オーナーだけでなく、倉庫や工場跡地などの広大な遊休不動産を持つ企業にとっても、有効な土地活用になるとみられる。