金融機関が民事信託を積極提案

商品|2017年03月06日

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ハウスメーカーからの紹介が大半占める


金融機関で、家主向けの民事信託の活用提案が広がりつつある。
家主の高齢化に伴い、認知症で賃貸経営の判断ができなくなったときに備えて、家族に財産管理を託すことができる民事信託の需要が拡大しているようだ。


金融機関が、相続税対策で賃貸住宅の建設を検討する高齢家主へのアパートローン融資に民事信託を組み合わせて提供している。
2016年9月から民事信託の提供を開始している広島銀行(広島市)では、これまで15件ほどの契約実績を上げている。
また横浜信用金庫(横浜市)は今春から人員を増やし、営業を強化する方針だ。

広島銀行が提供しているのは、不動産や株式を信託の対象資産とする、民事信託の組成・契約のみのマネジメントサービスと、借入金を信託の対象資産とする、民事信託対応型のアパートローンだ。
ハウスメーカーや不動産会社からの紹介で、不動産を所有するオーナーが利用するケースが大半を占める。
これまでに信託組成のみが約10件、アパートローンの申し込みが約5件あったという。
月に2、3回セミナーを開き、既存顧客への提案を進めている。
ハウスメーカーの依頼で共催するケースもあり、1回あたり20~100人の不動産オーナーが集まる。
同行によると、他の金融機関から民事信託の商品化に関する問い合わせも来ているようだ。

相続対策で賃貸住宅を建てる場合、借り入れをするのは高齢者であることが多い。
マンションやアパートを建てた後に体調を崩したり、入院したりして物件のメンテナンスや空室対策ができなくなり、収益性が下がってしまうと金融機関への返済も滞ってしまう。
民事信託を契約し、息子や家族に賃貸経営や金融機関への返済の管理を託すことで、委託者がたとえ認知症になったとしても、健全な賃貸経営を行い大規模修繕に必要な追加融資をスムーズに受けることができるようになる。

横浜信用金庫も16年9月から民事信託の取り扱いを始めており、事業拡大のため今春から人員増加を図る。
現在は、金融サービス部顧客相談室で、遺言作成やM&Aなどの相談窓口が担当しているが、より営業支店と密着度が高く情報共有をしやすい部署が担うようになる。
同信金は、高齢の不動産オーナーを顧客に多く持っているという。
2年ほど前に、賃貸住宅の建築を検討しているオーナーが建設会社を通じ、同庫で家族信託を活用した融資ができないかと相談が寄せられたことにより、ニーズを感じ民事信託の取り扱いをスタートした。

他に金融機関は千葉銀行や城南信用金庫、西武信用金庫など首都圏の金融機関を中心に民事信託を取り扱っている。


民事信託とは
2006年の信託法改正以来、信託銀行などを使わなくても、親族間などで自由に活用できるようになった新しい仕組み。
財産を権利と名義とに分離することで、民法では不可能な財産管理、資産承継、事業承継が可能となった。
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