【宿泊業に挑戦する家主】民泊の経験を生かす
商品|2020年02月17日
不動産会社が宿泊事業を展開するケースが増えてきている。その流れは企業にとどまらず、個人家主にも広がっている。宿泊事業を始めた家主に取材。経営スタイルは個人家主ならではの身の丈に合った内容だ。
賃貸閑散期がホテルの繁忙期
自宅・賃貸住宅売却資金つくり土地購入
「ウェルカム」。こう笑顔で外国人旅行者をフロントで出迎えるのは、畑昭オーナー(東京都新宿区)。都内に賃貸住宅を53戸所有する畑オーナーは、2019年1月に宿泊施設アパートホテル『STUDIO INN(スタジオイン)西新宿』を開業し、1周年を迎えた。建物は自宅も併設しており、全5室と小ぶり。立地は京王新線「初台」駅から徒歩5分で、『オペラシティ』にも近い。「新宿」駅からも徒歩20分以内というロケーションで、稼働率は90~95%。当初計画時から80%稼働で収支計画を作ったので、十分な黒字だ。宿泊者は長期滞在者もいるが、平均すると3・5日。
運営は代行会社に委託せず、自主運営。帰国子女だった奥さまが予約者とメールでやり取りして、畑オーナー自身はフロント受付や運営全般を務める。畑オーナーの宿泊施設がある新宿区は有人対応が条例で定められている。「基本5室で、訪問時間をあらかじめ聞いているので、それほど時間には縛られない。自宅を併設しているのでできるのかもしれない」。
サラリーマンだった19年前から賃貸住宅を購入し、所有物件数を増やしてきた畑オーナーが宿泊施設を始めた理由は二つあった。一つは奥さまが都心に住みたいという希望があったこと、もう一つは海外旅行でアパートメントホテルに泊まり、快適だったことから自身もやってみたいと思ったことだ。もともと新法ができる前に民泊を運営していた経験もあった。こうした経緯から、自宅兼宿泊施設を計画。土地探しから始まり、運良く3カ月ほどで今の土地が見つかった。17年5月に40坪の土地を購入。その購入資金は自宅と所有していた賃貸住宅2棟の売却でつくった。その額1億5000万円。土地を現金購入し、建物は全額融資を受け、建設した。現在も賃貸住宅とコインランドリーを自主管理。物件は基本都内なので、移動距離も苦ではなく、宿泊事業と両立できているようだ。「海外の宿泊者が多く交流できることは楽しい」と畑オーナーは話す。