【管理会社ノート〜受託営業編〜】リノベ事例ギャラリーと買い取り再販で管理増

クラスコ,不二興産

管理・仲介業|2022年10月24日

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クラスコの満室事例をまとめた満室ギャラリー

 管理戸数を伸ばすための各社の営業手法を取材し、5カ月にわたり連載してきた。最終回は2社の事例を紹介。満室事例のギャラリーを案内し受託につなげるクラスコ(石川県金沢市)と、買い取り再販とのセットで管理を伸ばす不二興産(愛知県名古屋市)に話を聞いた。

クラスコ、地元密着戦略で570戸純増

満室事例ギャラリーが決め手

 管理戸数約2万戸を誇る石川県地場大手のクラスコは、直近の1年間で570戸管理を伸ばした。商圏である金沢市内などのオーナーへのダイレクトメール(DM)送付から反響を獲得。問い合わせをしてきたオーナーに、リノベーションにより満室に至った物件写真を飾ったギャラリーを見学してもらうことが受託の決め手となっている。

 2021年7月〜22年6月の1年間の増加数は670戸。減少数は100戸だった。

 同社のメイン商圏は金沢市や小松市など。従業員は185人。そのうち受託営業専任の担当者はパート従業員を含め6人だ。

 受託経路は新規オーナーが64%、既存オーナーが36%だ。

クラスコdata

 同社が管理受託に至るアプローチ方法には2段階ある。1段階目は、反響獲得のための広告とDM送付だ。

 広告については、看板の設置、ラッピングを施した営業車による市内の巡回を行う。

 看板は市内に60枚設置しており、ポイントはロードサイドや立地が良く人の往来が見込める月極駐車場などに設置することだという。

 ラッピング車は40台弱用意。目を引くよう彩度の高い水色を車体の全面に塗装している。

 最後の一押しになるのはDMで、DMに記載する同社の電話番号への反響が多い。DMは月1回、自主管理オーナーや他社管理オーナー宛てに3000部ほど送付している。DM反響率は0.3%。送付作業はアウトソーシングしている。

 DMからの問い合わせ後に話をよく聞くと「看板やラッピングされた営業車を見て気になっていた」という声が大半であるため、反響に至っているのは、その二つによる効果が大きいと同社は感じている。

 2段階目は、反響営業。オーナーからの問い合わせ後は同社の「満室ギャラリー」の見学日程を取り付け、当日は受託担当の社員が案内を行う。満室ギャラリーとは、リノベにより満室となった管理物件の写真を飾っているギャラリーだ。改修後の内装を見てもらいながら、受託後は施工期間を含め平均3カ月以内に満室にしている点をアピールする。見学後はほぼ100%管理を獲得できるという。

 小村典弘社長は「オーナーへ管理受託のアプローチをする際には『クラスコ』という社名ではなく空室対策サービスの『満室の窓口』というブランド名を意識して使用する。入居率に悩むオーナーの目を引く言葉を使っている効果もあるのではないか」と話した。

小村典弘社長写真

クラスコ
石川県金沢市
小村典弘社長(47)

 

 

不二興産、買い取り再販セットで提案

年間200戸超ペースで管理伸長

 管理戸数1806戸の不二興産は、年間300戸以上を手がける買い取り再販とセットで管理を提案し、1年間で約250戸を受託。近年は、年間200戸以上のペースで管理戸数を伸ばす。

 同社の管理物件の所在地は、7割が愛知県名古屋市、そのほかは名古屋市以外の愛知県、岐阜県、三重県などだ。

 管理を受託するオーナーは約200人で、そのうち投資家が6割、地主が4割程度。全従業員33人のうち、管理業務の担当者は7人で、受託営業のスタッフは1人だ。

 同社の管理戸数増加のうち6割ほどを占めるのが、主力の買い取り再販事業で販売した物件の管理受託だ。販売時に管理とセットという条件で販売を行っている。年間の販売件数のうち、6〜7割で販売後の管理を担う。

 管理に至らないケースは、販売先が不動産会社で、自社で管理を行う場合に限られる。個人のオーナーの場合は100%管理を任されている。

不二興産data

 中には、現在付き合いのある管理会社に依頼したいという買主もいる。だが、あくまでセット販売であることを販売担当者が説明し契約につなげる。「一度当社の管理を試してみてほしいと伝え、管理獲得につなげている」と同社の小倉英武営業部長は話す。

 複数の施策を行う中でも同社が現在注力するのは、協力会社との提携だ。22年7〜9月の3カ月間で、紹介により50戸を受託した。

 売買を行っており賃貸管理部門を持たない不動産会社や建築会社、士業や銀行に営業し、業務提携を提案する。同社にオーナーを紹介してくれた場合は、紹介料を支払うというものだ。

 年間の売買件数が多い不動産会社や税理士などを重点的に回り、現在61社との提携が実現している。「その中でも税理士からの紹介は管理状態に困っているオーナーの割合が高く、契約に結び付きやすい。さらに自身で購入する場合もある」(小倉営業部長)

 今後はエリアの拡大を計画。3年以内に、東京都・大阪府・愛知県三河地区での管理拠点開設を目指す。23年6月末には管理戸数2200戸、25年には5000戸を目標に掲げる。

(2022年10月24日・31日5面に掲載)

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