「賃貸住宅の管理業法等の適正化に関する法律(以下、管理業法)」の施行で管理会社が必須となった業務の中に「家主に対する定期報告」がある。入出金明細、建物状況、入居者からのクレーム対応状況の報告など、多岐にわたる業務報告をオーナーへ行う。業務整理を行い、アウトソーシングを活用しているユーミーホールディングスに聞く。
アウトソース利用で対応
―定期報告義務で軸となる内容とは。
入居契約状況、建物巡回、入居者クレームだ。入居者の入退去に関しては、都度、状況報告をしている。オーナーには、基幹システムからオンラインでリアルタイムの状況を報告することができる。しかし、オーナーからの問い合わせは電話やメールで返ってくることが多い。その際は、電話だけでなく、メールで文章を残すようにしている。建物巡回と入居者クレームはアウトソーシングを利用している。
―利用しているアウトソーシング業者は。
建物巡回はリクルート(東京都千代田区)のエリクラを利用中だ。選定理由としては、月1回の巡回業務の充実度、価格面、提案型の報告内容であることだ。提案型とは、「駐輪場のトタン屋根がはがれており、修繕を検討すべき」など報告だけでなく、写真とプラスアルファの報告内容のこと。エリクラからのフォーマットがその形態をとっていた。
―外部業者を利用する際の注意点は。
外部業者の顧客は私たち管理者のため、管理会社向けの報告内容になっている場合が多い。それを、オーナー向けに読みやすく直す必要がある。この部分の業務はオペレーションのマニュアルもないので、各担当者が報告書を作っている。
―入居者クレームを定期報告に入れることは管理会社のメリットとなるか。
絶対にやるべきだ。管理会社との関係が希薄だと、オーナーの中には「管理会社が何もやってないのでは」と不安になる人もいる。管理会社では入居者クレーム以外にも、細かな業務が発生する。管理業法で定められている定期報告内容以外でも、積極的に業務内容をアピールすべきだと思う。オーナーの信頼を得るためにも、管理会社が行っている日々の業務内容を細かく報告するメリットはあるだろう。
―一般的な管理会社が定期報告義務をクリアするにはどうすべきか。
外部委託を上手に利用することだ。自社ですべてまかなうには限界がある。地方の管理会社では特に、人材不足など抱える問題も多い。業務内容の整理をして、自社で行うべき業務と外部委託する業務を洗い出すだけでも、会社の問題点が見えてくる。結果的に外部業者を利用しなくても、業務整理を行うことで、定期報告業務についての見直しが可能だ。
(2023年2月20日18面に掲載)