ニッセイ基礎研究所(東京都千代田区)は、東日本大震災を受けて、4月11~18日に計1051名の不動産分野の実務家・専門家に「震災と不動産市場に関する緊急アンケート」を実施した。回答を得られたのは261名。
「東日本大震災が与えた直接的被害以外に、今後、日本の不動産市場に与える大きさについて」の質問には、「やや深刻」「深刻」「非常に深刻」という回答が合わせて9割超となった。「それほど深刻ではない」という回答者も、福島原発事故処理の進捗状況によっては「より深刻になり得る」とした。具体的なマイナスの影響については、「震災リスクや原発リスクから、海外の投資家が日本の不動産を忌避する動き」が最多の58・6%、次に「経済成長率の低下に伴う、不動産需要の低迷」が51%。
今後、選別が厳しくなると懸念される不動産タイプについては「分譲マンション」の52・15%が最も多く、「賃貸アパート・マンション」は最小の6・9%にとどまった。今後被災者向け需要で賃貸住宅のニーズが高くなるとの見込みのためだ。
「東日本大震災を契機に、不動産市場でこれまで以上に重視されると思われるリスク」については、「東京一極集中リスク」「震災・津波リスク」「電力・停電リスク」「原発・放射能汚染リスク」の順に多い。今後は企業が東京への機能集中を見直し、一部機能を地方都市へ分散する可能性がある。