対象は5億円程度のRC造
グループで中古区分マンションの販売や賃貸管理を手がける日本財託(東京都新宿区)は、新たに中古一棟物件の買い取り再販事業を開始した。事業領域の拡大を通じて、新規顧客の獲得につなげていく考えだ。
商圏を東京都23区内を中心に、1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)に定め、5億円程度のRC造のマンションを仕入れていく。オーナーの開拓は、仲介会社や金融機関からの紹介を活用していく。管理をセットにはせず、オーナーからの要望があれば受託する。
再販用の第1号物件として、同社はRC造地上4階建ての賃貸マンション「ステラ石神井」を1月16日に取得した。同物件は、西部鉄道池袋線石神井公園駅から徒歩9分に立つ。全37戸で、うち36戸が入居中。入居者は単身者がメインだ。エントランスの修繕工事が3月5日に完工し、販売営業をスタートする。
同事業の計画を開始したのは2023年9月ごろ。事業を多角化し、既存事業に続く収益の柱をつくることを目的とする。
同社がこれまで主力事業としてきたのは、区分の中古マンションのワンルームの販売。既存の約9000人のオーナーは、サラリーマン投資家がほとんどだ。一棟物件の再販の顧客層とは異なるため、新事業で新たな顧客層の獲得も狙っていく考えだ。
近ごろ、同社は事業の多角化を推進してきた。16年ごろから自社保有用の中古物件を購入し、賃貸事業も開始。3月1日時点で9棟を保有する。一棟での管理受託営業も進めており、約600棟を請け負う。
事業本部長の沢田茂樹専務は「新規事業で経験を積んでいくことで、一棟管理受託の強化や自社保有物件の出口戦略など、既存の事業とのシナジーにも寄与する」と話す。
同社は今後、年10棟の仕入れと、年3~4棟の販売を計画する。「中長期的には、民泊やマンスリーでの賃貸など、物件のバリューアップ提案も行いたい。これまで当社がやってこなかった部分のノウハウを、新規事業により獲得していきたい」(沢田専務)
(2024年3月11日2面に掲載)