一般社団法人日本シェアハウス連盟によると、2019年の大阪府・京都府を合わせた物件棟数は374棟で、3年前よりも40棟近く増えている。関西で展開する事業者から、運営の工夫と今後の見通しを聞いた。
手軽さ、交流の需要増
トラブルから審査を厳格化
日本レイズ(大阪市)は、2年前から大阪市内でシェアハウスの運営を行っている。所有物件として2棟31室を管理しており、いずれも満室で稼働する。
一般的にシェアハウスは、社宅や戸建て住宅からコンバージョンされるケースが多い。そんな中で同社の物件は全て新築である点が強み。設計から手を加えることで、生活導線の確保やターゲット層に合わせた間取りが可能になる。その一つが玄関先から直結している共用リビングだ。コンセプトとしている入居者同士の交流に適した造りとなっている。
『SEN(セン)大阪』は、大阪メトロ谷町線「駒川中野」駅から徒歩5分の場所に立つ。ドミトリー含めたの24部屋で、1年半前から開業。現在満室の32人が暮らす。梅田などの主要エリアに勤務する若者が多く。海外からの利用者も半分ほどを占める。賃料は周辺のワンルームより1万円ほど高い6万円から。
「開業当初の反省から、現在は入居者の選定を厳格にしている」吉村貴之マネージャーは話す。これまでは、稼働率の確保を重視していたため、審査が緩かったという。1年前、入居者同士のトラブルから10人ほどが一気に退去。同社の強みであったコミュニティーが、悪い方向に作用する形となった。
この経験から、同社では入居審査の際に運転免許証の提出や、成人であっても電話で両親への連絡を徹底している。入居者の確保から、入居後の生活の充実に焦点を当てた運営を心掛けるようになった。その結果、トラブルが激減し、入居期間も当初の2倍ほどになったという。「入居審査はシェアハウスの中でもかなり厳しい部類」と話すほど、契約までに手間をかける。そうすることで安定的な運営につながっている。