全国賃貸住宅新聞社では、7月19・20日に東京ビッグサイトで「賃貸住宅フェア2023 in 東京」を開催します。ここでは開催に先立ち、当日の出展企業の商品・サービスをピックアップして紹介します。
いえらぶパーク、駐車場をオンラインで管理
時間貸しで収益化
クラウド型の賃貸管理システムを提供するいえらぶGROUP(グループ:東京都新宿区)のグループ会社であるいえらぶパーク(同)は、2022年に引き続き2年連続での賃貸住宅フェアへの出展となる。
同社の主なサービスは、月極駐車場のオンライン契約サービス「QRsign(キューアールサイン)」だ。申し込みから契約、駐車場料金の決済と更新、解約まで月極駐車場の管理業務をすべてオンライン化することができる。それに加えて、駐車場を管理する不動産会社への駐車場の空き状況の問い合わせが来た場合の対応をはじめ、契約手続きなどの業務も同社へアウトソーシングできることも強みの一つだ。
今回の出展では、このQRsignを基に阪神高速サービス(大阪市)の協力で開発した、月極駐車場を時間貸しで提供し収益化する「リザパー」を新サービスとして不動産会社へ提案する。アプリ型の駐車場予約サービスで、利用者はスマートフォンから駐車場の空き区画をコインパーキングのように予約して利用できるようになる。
クラウド型のシステムであるため、基幹システムの「いえらぶCLOUD(クラウド)」とも連携し、駐車場の予約・契約状況がリアルタイムで更新される。リザパーの利用者には、利用頻度によってQRsignから月極の契約を案内することも可能だ。いえらぶパークは、QRsignとリザパーを利用する不動産会社を増やすことで、空き駐車場の課題解決につなげたい考えだ。
三菱商事、自宅の宅配ボックスから発送
伝票の記入も不要
大手総合商社の三菱商事(東京都千代田区)は2022年8月より、EC(電子商取引)サイトで購入した商品の発送・返品サービス「SMARI(スマリ)宅配ボックス」を展開している。
ECサイトで購入した商品を返品する際などに、自宅の宅配ボックスから商品を発送できるサービスだ。専用の「SMARIQRシール」を貼付した宅配ボックスに商品を入れると、宅配事業者が集荷・発送を行う。
利用者は各サービスサイトからSMARI宅配ボックスによる発送を選択し、自宅の宅配ボックスに商品を投函(とうかん)。貼付のQRコードを読み取り、表示された4桁の暗証番号で宅配ボックスを施錠すると手続き完了となる。利用者は発送伝票の記入が不要で、店舗などに赴くことなく発送することができる。
展開エリアは1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)で全国展開も予定している。SMARI宅配ボックスのサービスを利用できるECサイトなどを運営する事業者は数十社程度。
4桁の暗証番号で管理する宅配ボックスであれば、アナログ式など形式は問わず、既存の宅配ボックスにも導入することができる。
同社はコンビニエンスストア「ローソン」の配達網を活用した商品発送サービス「SMARI」を19年から展開しており、そのノウハウを用いて自宅の宅配ボックスからの発送も可能にした。
シャーロック、アナログ式カードキー開発
設置、交換に安価で対応
スターツグループで鍵の製造・販売を行っているシャーロック(東京都中央区)は、19日にアナログ式カードキーの新製品を発表する。
商品名は「シャーロックシリンダー」。カードキーを鍵本体に差し込み、本体を回すことで解錠する。解錠用のカードキーと本体に内蔵されたカードキーをセットで販売しており、それぞれに開いた小さな穴の組み合わせで認証し解錠する仕組みだ。入居者が入れ替わった際などの鍵交換工事は本体内蔵のカードを交換するだけ。シリンダーの交換と同じ要領で設置できるように工夫しており、一般的な賃貸物件であればドライバーのみで設置することが可能だ。
同社は2001年より、アナログ式カードキーやスマートロックまで取りそろえた「シャーロック」シリーズを展開しており、賃貸業界では累計販売台数50万台の実績がある。スマートロックが徐々に普及する中で、物理的な鍵を持つという安心感などからアナログ錠にも勝機があると判断。通常のアナログ錠と比べて鍵交換の費用が安く済み、マスターキー機能などをなくしてコンパクトな大きさにすることで、本体費用を抑えることにも成功した。
販売開始は今秋を予定しており、本体費用は1万5000円を想定している。鍵交換は4600円(税抜き)からとなっている。
マサル、マンション・ビルの大規模修繕
漏水・防水施工に特化
マンション・オフィスビルのリニューアル事業を手がけるマサル(東京都江東区)は、賃貸住宅の大規模修繕事業も行っている。
大規模修繕では外壁補修や屋上防水を多く手がける。特長的なのは、漏水対策や保全施工だ。年間の漏水・防水施工の件数は約100件となる。
施工に関する高い技術力がマサルの強み。雨漏りをはじめとした漏水は原因究明が難しく、建築構造の理解が大切であり、専門知識が必要だ。マサルでは、全社員128人のうち、約50人が建設業法で定められた施工管理に関わる国家資格の1級建築施工管理技士を持つ。これらの社員が物件の診断から見積もり、施工まで一貫して対応するため、物件の状態に即した修繕を行うことができる。
オーナーに綿密なヒアリングを行い、修繕計画や予算、物件の状態に合わせて合理的かつ必要な修繕のみを提案。オーナーと良好な関係性を構築し、物件の長期的な保全や適正な修繕に生かす。
マサルは漏水や防水施工に関する技術力の高さが評価されており、超高層ビルや重要文化財の防水施工で実績を築いてきた。勝又健社長は「『技術のマサル』として評価されている。建物のかかりつけ医として、中小規模のオフィスビルや賃貸マンションにも適切な大規模修繕を提案していく」と語る。
(2023年7月17日9面に掲載)