映像制作を行うサンキャク(神奈川県横浜市)は、不動産会社の「ユーチューブ」チャンネル開設と動画制作の支援サービスを展開する。4000万円の一戸建てが60棟以上売れた実績もある。不動産仲介営業活動の成果につながるユーチューブチャンネルについて、同社の竹内竜太社長に話を聞いた。
「24時間働く営業社員をつくるイメージ」
―不動産販売を支援するユーチューブチャンネルとはどういうものか。
販売につながる「登録者数」と「再生数」を獲得するチャンネルを運営している。ターゲットと売りものを明確にし、「企業が伝えたいこと」ではなく「顧客が知りたいこと」をコンテンツ化する。支援先の不動産開発会社のユーチューブチャンネルでは、1人の営業担当者をユーチューバーとしてプロデュースし、頭金、ローン、物件の内見など不動産購入を検討する顧客層が関心を持つようなコンテンツを制作した。その結果、単価4000万円の一戸建てが60棟売れた。
―どのように動画を作るのか。
24時間休まず働く営業社員をつくるイメージだ。不動産会社は、当初、建物や街の魅力を伝えるチャンネルにしようと考えていたが、「情報が多すぎてお客さま目線になっていない」と感じた。そこで、営業担当者を集め、購入希望者からよく受ける質問を書き出し、それに応える動画を一つ一つ制作した。
―具体的にどんな動画を作ったのか。
例えば、ローンや頭金など、お金に関する動画だ。こうしたテーマについて顧客層は気になっていても、聞きにくいものだ。テーマが絞られ、1人で視聴するユーチューブのほうが疑問に応えやすい。あるいは、ほかの物件との比較、物件のメリット・デメリットを伝える動画に反響が集まった。不安が解消され知りたい内容に応えてくれるユーチューブチャンネルには、「購入したいけどわからないことがたくさんある」という顧客層が集まり、信頼を獲得できるようになる。
―チャンネルはどのようにして拡散されたのか。
物件のウェブサイトに動画のリンクを張った。希望地域の物件をポータルサイトで検索した人がウェブサイトにたどり着き、動画を見た人がチャンネルページに移動する流れだ。「戸建て」というキーワードで上位に表示される施策も行った。「出ている人に担当してほしい」という指名もあった。動画を視聴した顧客は、物件に関する情報をほぼ理解しているため、話が進みやすい。商談時間も通常の3分の1程度だった、と聞いている。
賃貸でも応用可能
―営業成績を上げる動画を作るポイントは?
「何を届けたいか」「どんな行動を取って欲しいか」を考えてチャンネルの内容を統一させることが重要だ。賃貸系ならば「単身/ファミリー」「エリア」「年収」などを明確にしてターゲットを絞る。動画で説明すべき内容を伝えれば、来店時に「申し込むだけ」という状況もつくりだせる。成果をチャンネル登録者数や再生回数だけで計らないことも重要だ。ある不動産会社のユーチューブチャンネルでは「山小屋ルームツアー」という動画が17万回再生されているが、「ただ動画を見たい人」と「実際に購入を検討している人」が混在してバズった例だ。再生回数が多くても購入にはつながらない。
サンキャク
神奈川県横浜市
竹内竜太社長
(2022年7月4日16面に掲載)