エア・ウォーター北海道、インフラ企業が空き家再生

エア・ウォーター北海道

2026年06月04日

事務所に併設されていた住居スペースを簡易宿所に改修。インバウンド需要を狙う

北海道・上富良野でホテルに転用

 産業ガスメーカーのエア・ウォーター北海道(北海道札幌市)が、空き家再生に乗り出した。

 自社保有の遊休資産を再生した簡易宿所「KAMIFURANO BASE」を3月にオープン。夏の繁忙期に向け集客を行っている。

 再生した物件は同社の上富良野サービスセンターのうち、事務所とは別に併設されていた住居スペースだ。事務所部分は、現在も稼働している。

 築30年超の2階建てで、延べ床面積150㎡だった。基本構造を生かしつつ、1階にあった2室のリビングを広い1室に間取り変更。2階にはシャワールームを新設するなどのリノベーションを施し、再生後の間取りは3LDKとなった。改修費は数百万円。投資回収の目安についてE&S事業部の佐藤達哉係長は「利用料金は時期により変動するが、5月末時点では1泊5万円台に設定。稼働日数は年間の約3分の1を目指すことで収益性を確保する」とした。現場運営は、富良野エリアを商圏とする民泊運営会社が入る。集客は民泊ポータルサイト「Airbnb」を活用する。

 KAMIFURANO BASEの最大収容人数は11人。インバウンド(訪日外国人)を主なターゲットとしつつ、道内客、法人、ワーケーションなど多様な利用を視野に入れる。ガス会社ならではの特徴として、高効率な給湯器「エコジョーズ」やガス乾燥機「乾太くん」を導入し、快適性を高めた。

 本事業は地域課題への貢献を重視したものだ。背景にあるのは、北海道が直面する人口減少や高齢化といった社会課題だ。佐藤係長は「当社のインフラ事業は、人々の暮らしが維持されていることが前提でビジネスが成り立つ。その前提が崩れつつある中で、空き家問題に挑戦してみようと考えた」と語る。

 今回の初号物件は、空き家再生の可能性を検証するためのトライアル的な位置付けだ。今後の事業拡大の判断基準について佐藤係長は「空き家再生を通じて地域に人が集まり、関係人口の増加につながるかどうかが基準となる」と話す。

 将来的には、現在外部委託しているKAMIFURANO BASEの清掃業務などの雇用を地元で創出し、地域連携型の宿泊施設運営を目指していくとした。

(2026年6月1日6面に掲載)

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