賃貸仲介・管理のアンビション(東京都目黒区)が勝負に打って出ようとしている。9月、JR新宿駅徒歩1分の地に新宿店をオープン。同時に法人仲介にも本格的に乗り出すなど、攻めの姿勢を鮮明にしている。
思い出横丁の一角、新宿駅西口と東口をつなぐ通路のすぐ脇に新宿店はある。4フロア合計約60坪の大型店だ。客席数30、迎えるスタッフは総勢12人。他店ではスペースの不足から繁忙期には来店者を待たせてしまいがちだが、この座席数ならば待ち時間を大幅に短縮できる。
1、2階は一般賃貸仲介のスペース。「立地の良さを生かして飛び込み客の集客に力を入れたい」(福本良平店長)と、黒字に白抜きの大きな看板を掲げ、店舗入り口を前面開口にして来店者を呼び込む。モノトーンを基調としたデザイン、壁には物件外観図面を額に入れて飾るなど、新宿に集まる若者らを意識したしつらえだ。
法人仲介の拠点となる3、4階は、スペースに余裕をもってテーブルを配し、落ち着いた雰囲気を演出している。交通利便性の高い新宿を基点に、直接法人にアプローチをかけていく。
乗降者数日本一の新宿駅から徒歩1分という好立地。抜群の集客力を期待できる地で、勝負をかける。「新宿をアンビションの営業拠点にする。ここで駄目なら事業撤退さえ考える」と清水剛社長の意気込みは十分だ。
10月は飛び込みで80組、全体で100組強が来店し、滑り出しは好調。繁忙期には月間300組の集客、年間で700~800件の成約を目指す。
創業から2年、池尻大橋、上野、六本木、渋谷、池袋と出店攻勢をかけ、新宿店で6店舗目の店舗となる。ターミナル駅にこだわる理由は、古参の地元業者との競合を避け、特定の地域へのこだわりを捨て、予算やニーズに応じた物件を広域から紹介する営業スタイルを採るため。結果、人の集まる主要駅で出店し、その駅を基点として物件を網羅した。
新興仲介業者として認知度が上昇してきている同社にも、住み替え市場の冷え込みは容赦なく襲いかかる。昨年の年間賃貸仲介件数は約2900件。「今年は大きな伸びは期待できない」と清水社長。そんな中、あえて勝負に出た新宿店の成否に注目が集まる。