大東建託(東京都港区)は、水害に特化した防災配慮型賃貸住宅「ぼ・く・ラボ賃貸『niimo(ニーモ)』」の1棟目を着工し、3月30日に上棟時現場見学会を開催。5月末に完工を予定する。
1.5mの浸水を想定し設計
同物件は小田急電鉄江ノ島線の長後駅から3.5㎞ほどの神奈川県綾瀬市に立地する。1階部分はRC造で、2~3階は木造。商品としては集合住宅だが、今回は戸建てだ。地盤面から1.5mほどの浸水を想定し、1階を打ちっぱなしコンクリートのRC造にすることで、浸水しても復旧させやすい。室外機やコンセントの位置も1.5mより高い位置に設置した。
2019年に発生した台風19、20号において浸水被害を受けた同社の管理建物のうち、地面から0.5~1mまでの床上浸水の被害が約6割を占めた。そのため1.5mの浸水想定対策を施すことで、多くの物件を浸水被害から守ることができるとする。
家賃は近隣相場の5~10%増を想定している。
同物件のオーナーが建築を決めた理由は、デザイン性の良さだという。
商品開発部商品開発課の下平孝洋課長は「平常時にも災害時にも機能する『フェーズフリー』という考え方が生きた好例だと思う。防災配慮型の住まいというと大仰になりがちだ。通常の住宅としても気に入られ、万が一の場合に役立つ防災機能が備わっているという『備えない防災』も、フェーズフリーの考え方の一側面」と話す。
同社ではグループを挙げて防災に取り組んでいる。支店の一部を活用した防災拠点「ぼ・く・ラボステーション」は、22年12月末時点で全国に39カ所を展開する。
(2023年5月22日15面に掲載)