市場を寡占するガリバー企業がない？全国の地場大手が活躍する賃貸管理業界
その他|2021年12月13日
賃貸経営をサポートする賃貸管理会社には、いくつかのビジネスモデルや特徴があります。これから賃貸市場を学びたい人のために、ビジネスモデルごとに大手企業を紹介します。
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賃貸市場を形作る、大手管理会社
賃貸市場の一端である、大手管理会社賃貸管理会社の仕事は、その土地にいなければうまくいかない業務が大半です。入居者の獲得、家賃の回収、建物の清掃・点検といった実務は、地元で働く人が担うものばかりです。そのため、全国の各都市には、地域の不動産市場で大きな影響力を持つ賃貸管理会社が存在するのです。市場を寡占する圧倒的なガリバー企業がなく、全国の地場大手が活躍しているのは、賃貸管理業界の特徴といえます。
業界の指標 管理戸数ランキング
そんな賃貸管理業界で、各社の規模を図る指標となっているのが、全国賃貸住宅新聞が毎年夏に発表する「管理戸数ランキング」です。賃貸管理会社の事業規模は、家主から管理を委託された賃貸住宅の戸数に比例することから、管理する賃貸住宅の戸数を調査し、ランキング形式で発表しています。上位の賃貸管理会社ほど売り上げは高く、契約する家主の数も多い。地域の不動産市場への影響力が大きいと言えます。
ランキングのトップを長きにわたり守り続けているのが、117万4264戸を管理する大東建託グループ(東京都港区)です。土地の所有者に賃貸住宅の建設と、その後の賃貸経営を一括で提案し、入居者の募集などの仲介事業も行います。管理戸数は増加の一途をたどっており、拡大する賃貸住宅市場を象徴する存在といえるでしょう。
大東建託グループのほかにも、たくさんの賃貸管理会社が全国に存在します。ここからは、主要企業を、事業の特徴ごとに分類して紹介します。
建設から管理まで一括で請け負う、アパート&ハウスメーカー
大東建託グループに代表されるアパート&ハウスメーカーは管理戸数ランキングの上位常連の企業ばかりです。65万7190戸でランキング2位につける積水ハウスグループ(大阪市)、61万2953戸を管理する3位のスターツグループ(東京都中央区)、大和ハウスグループの管理会社である大和リビング(東京都新宿区・60万428戸)、レオパレス21(東京都中野区・57万3673戸)などです。
こうしたアパート&ハウスメーカーが管理する賃貸住宅の多くは、家主との間に、サブリースという契約を結んでいることが多いのも特徴です。この契約は、入居者がいてもいなくても、毎月一定の家賃収入を管理会社が家主に支払うことを約束するものです。裏を返せば、賃貸住宅の建設、管理、仲介といった賃貸経営に絡む一切の業務を、丸ごと一つの会社に任せたいと考える家主が多いともいえます。
賃貸管理に特化した、専業会社
ハウスメーカーと異なり、建設は行わず、賃貸住宅の管理業務だけを専門にする企業もあります。23万676戸を管理するハウスメイトグループ(東京都豊島区)、タイセイ・ハウジーホールディングス(東京都渋谷区・9万3972戸)、日本管理センター(東京都千代田区・9万6086戸)などです。ハウスメーカーが管理する賃貸住宅の大半は自社で建設したものですが、このグループに属する管理会社は、他社が建てた賃貸住宅の管理を軸にしているのが特徴です。
全国的に名の知れた、強い仲介店舗網が特徴
入居者獲得に強い仲介店舗を持つ管理会社もあります。「アパマンショップ」を運営するAPAMAN(アパマン:東京都千代田区・9万422戸)や、エイブル(東京都港区)、ミニミニグループ(東京都港区)などです。これら3社は、直営に加え、フランチャイズチェーンに加盟する全国各地の企業の店舗も多く、テレビCMなども積極的に行うことから、高い知名度を有しています。
賃貸住宅経営における収益の源は、入居者が支払う賃料です。どんなに立派な賃貸住宅を所有していても、入居者がいなければ収益は生まれません。家主にとって入居者獲得は事業の根幹です。この入居者獲得能力を武器に、管理契約の拡大を狙うのが、ここに分類された賃貸管理会社の特徴です。
※ 仲介に強い不動産会社がわかる賃貸仲介件数ランキングはコチラ
投資用不動産販売や、M&Aで急拡大した企業も
ほかにはない特徴を武器に伸びている賃貸管理会社もあります。例えば、購入した土地に賃貸住宅を建設し、投資家に対して土地と建物をセットで販売する事業で急成長したのが、MDI(エムディアイ:東京都中央区・4万924戸)や、シノケングループ(東京都港区・3万9283戸)です。
地域に根差した管理・仲介サービスで地場大手となった管理会社も少なくありません。北海道を拠点とする常口アトム(北海道札幌市・5万6873戸)、奈良で圧倒的シェアを持つ山晃住宅ホールディングス(奈良県北葛城郡・4万4550戸)、首都圏112店舗の直営仲介店「タウンハウジング」を展開するアレップス(東京都千代田区・4万4535戸)などです。
賃貸管理市場に参入して間もないながら、M&Aで管理戸数を急拡大する新興勢力もあります。東急住宅リース(東京都新宿区・10万6879戸)、ビレッジハウス・マネジメント(東京都港区・10万5478戸)、リロパートナーズ(東京都新宿区・9万4046戸)はその代表格です。三井不動産レジデンシャルリース(同・7万2293戸)のような財閥系や、学生向け賃貸住宅を専門とするジェイ・エス・ビー(京都市・7万6612戸)といった特徴のある企業も少なくありません。
このように、一口に賃貸管理会社と言っても、強みや成り立ちがそれぞれ異なります。その結果、提供するサービスにも大きな違いがあるのです。
