共済を活用した業務効率化や建物管理の適正化の動きが賃貸業界において進んでいる。2023年には、オーナーが大規模修繕にかかる費用の積み立てに活用できる「賃貸住宅修繕共済」の販売が本格化。将来必ずやってくる建物の修繕費用を経費化できる画期的な仕組みだ。原状回復や小修繕向けの共済も、広がりを見せている。
賃貸住宅の修繕費用、経費化
全国420社が代理店
大規模修繕工事に活用できる共済の本格的な販売が23年から始まっている。全国賃貸住宅修繕共済協同組合(東京都千代田区)が提供する「賃貸住宅修繕共済」だ。賃貸住宅の外壁や屋根、給排水管などの共用部の修繕に活用できる。掛け金の全額を経費にできることが大きなメリットだ。
契約代理店である管理会社経由でオーナーが申し込み、組合員となる。加入前に物件の状態の告知書を作成し、修繕すべき箇所がある場合は事前に修繕を行う。加入後は代理店である管理会社が定期検査を実施する。
24年4月時点で代理店数は420社。契約する物件のうち、加入時の築年数は20~30年が32%、30年超が19%と、20年以上が過半数を占める。同組合の溝端祐三課長は「賃貸住宅の修繕にかかるコストを実際の工事前に経費化できるという、分譲マンションの仕組みを準用して出来上がったもの。将来的には、賃貸住宅だからこその仕組みとしてさらに制度内容の拡充を図っていきたい」と話す。