「家族信託は上手に次の世代につなぐブリッジ」 武藤社長
認知症リスク対策 相続人との対話も
武藤 家族信託については、以前から取り組まなければいけないと思っていたんです。当社の取引先のオーナーさま約8300人の平均年齢は今、大体70歳前後になります。高齢化社会の進展で寿命も長い。それは非常に喜ばしいことなのですが、一方でいろんな意思決定が自分でできない状態になってしまう場合が出てくる。そういう問題は、昔から潜在的に多数あったのです。
森 3年ほど前にも、JPMCさんの営業の方向けに勉強会をやらせていただきました。確かにその頃から、家族信託をオーナーさまが元気なうちに広めていくべきだ、という認識を持たれていましたね。
武藤 当時は「家族信託」という言葉を明確に意識していたかどうかはともかく、オーナーさまが万一認知症になられる前の段階で、贈与は難しくても、何か意思決定を相続人に移す手段はないのかなということはずっと思っていました。そんな中でL&Fさんが家族信託事業を始められたと聞いて、まさに渡りに船でした。
森 実は当社の「家族信託の相談窓口」には、認知症になってしまってからの問い合わせが一番多く、4割を占めます。10人来たら4人はもう手遅れなのです。
武藤 会社なら、代表取締役の交代で後継者に譲ることができるのですが、賃貸経営のオーナーさまには引退というものはありません。企業が普通に代替わりするように、オーナーさまが次の代に権限を委譲するための役割を果たすのが家族信託だと思っています。