日本三大阿波踊りといわれる、埼玉県越谷市の「南越谷阿波踊り」。これを始めたのが、総合不動産会社のポラス(埼玉県越谷市)だ。毎年当日の運営を社員総出で行うだけでなく、地域の子どもたちに踊りを教えるなど、阿波踊りの振興活動も行っている。
例年70万人前後が訪れる全国的なお祭りだ。8月23日の前夜祭を含め、24・25日の3日間で行った「第38回南越谷阿波踊り」の観客数は62万人、踊り手の人数は6000人だった。阿波踊りは数十人の「連」と呼ばれるグループで踊る。今回は68連が参加し、ポラスグループでは事業部ごとや有志の17連が参加した。
第1回の開催は1985年。徳島県出身のポラスグループの創業者、中内俊三氏が地元への恩返しにもなり「地域の人がふるさと意識を実感できる文化イベントにしたい」と提唱し始まった。中内氏が声を挙げてから南越谷商店会や自治会などに賛同してもらったことで、第1回の開催に至ったという。
道路上で歩きながら踊る「流し踊り」と、舞台上で踊る「舞台踊り」、舞台踊りよりも近くから見ることができる「組踊り」を中心に行う。有名連も招待するが、地元連の参加も51連と多い。グループで賃貸管理を行う中央ビル管理(同)の業務管理部、江本昌央部長は「創業者は100連を集めることを目指していた。毎年地元の企業に参加依頼をし続けており、銀行なども参加してくれている」と話す。
流し踊りを行うこともあり、JR武蔵野線南越谷駅前は本祭の2日間は、午後5時〜9時30分まで交通規制が行われる。ポラスの広報課青柳孝二係長は「地元の場所をお借りしているので、きれいにしてお返しすることを徹底している」という。
午後9時に踊りが終了してから30分間、踊り手らも参加し沿道のごみ拾いを実施する。その後、深夜までかけて、祭りの運営を行ったポラスグループの社員らが清掃を行うという。
江本部長は、中央ビル管理の社員と、地元の子どもたちで構成する「だるまっこ連」の連長を務めて5年目になる。だるまっこ連の連長は同社で引き継いでおり、子どもたちに踊りを継承している。そのほか年5〜6回程度、同社の社員らが地元の小学校に阿波踊りを教えに行っている。「地元の文化、祭りとして意識してもらうことで、地域へのふるさと意識を醸成したい」(江本部長)
(2024年10月7日4面に掲載)