「Chat(チャット)GPT」に代表される生成AI(人工知能)の活用が、賃貸仲介業務で徐々に進んでいる。実際に取材した2社では、顧客からの問い合わせに対する返信作成で活用されていた。また賃貸仲介事業者向けに生成AIサービスを提供する事業者に対する反響も高まっているようだ。
月50時間の業務削減も
若手の研修効果
年間1万5439件の賃貸仲介を行う良和ハウス(広島市)では、顧客へのチャットでの返信時に生成AIを使うことで、文面作成の時間が削減できたうえ、スタッフの精神的負荷も軽減されているという。
利用するのは顧客情報管理システム(CRM)「CANARY Cloud(カナリークラウド)」内の機能の一つ「生成AI連携機能」だ。同機能はChatGPTをベースに、不動産業務に特化した独自のプロンプト(指示文)を組み込んだもの。顧客から来るテキストメッセージに対する返信の草案作成や、添削ができる。
良和ハウスでは顧客からの反響対応を、CRMを利用しチャットで行うことをルールとしている。1店舗あたり1日約70件返信するため、内容を考える手間や時間を削減することを目的として、7月より生成AI連携機能を活用している。
特にトラブル発生で顧客が怒っている時など、文面作成が難しい返信では必ず同機能を使うように賃貸仲介スタッフに指導。以前は、返信に時間がかかり、問題が深刻化することがあったが、こうしたトラブルも解消できるようになった。
ビジネス的な文面に慣れていない若手の賃貸営業スタッフも多い。そのため、文面作成に手間取ったり、正しい書き方ができずに上司が添削する必要があったりと、返信するまで時間がかかっていたという。
賃貸営業部の飛田健太部長は「今も最終的な文面の確認は上司が行っているが、AIが作成した文章を添削するほうが短時間で済む。若手スタッフもAIが作成した文面を通じてビジネス的な文面の書き方を学ぶことにつながっている」と話す。




