築古物件の再生を強みに約570戸を管理する満室ラボ(愛知県一宮市)は、2022年から無料で管理物件の建物診断を行っている。管理する物件で修繕が必要になる時期をおおまかに把握し、オーナーに対し修繕費用の積み立てを促す。
委託条件に購入前でも実施
同社の商圏は愛知県、岐阜県、三重県の三県(一部の地域を除く)。従業員は5人でそのうち3人が管理業務を担当している。
同社の管理物件は築30年以上の築古物件が約75%を占める。そのため、購入時には想定していなかった物件の不具合が発生することもあるという。
オーナー自身が、少しでも早く物件の状況を把握することで、修繕計画を立てるための判断材料にすることが建物診断の目的だ。
直近で防水工事や外壁塗装工事などを行った物件を除いた全管理物件を対象に22年2月ごろから、建物診断を開始。防水工事の施工事業者と提携し、月に1件程度調査を行い、A4で10枚程度の報告書を作成している。これまでに10棟の調査を完了させている。
すでに建物診断を終えた物件では、オーナーにオンラインで面談を実施する。報告書を基に、修繕計画の立案や概算で数年後に必要になる工事金額、工事のアドバイスなどを行う。また、オーナーから要望があった場合は工事仕様書の作成や入札、現場管理なども実施。これまでに3件の工事受注につながっているという。
さらに既存のオーナーに限り、購入前の診断も無料で実施。ただし、購入後に管理を同社に委託することが前提となる。
傍島啓介社長は「築古物件は、購入前の見極めがすべてと言ってもいい。そのため、オーナーに対しては、本当に購入して良い物件なのかを見定めてから購入してほしい」と話す。実際にこれまで、購入後に数百万円の修繕費用がかかることがわかったり、建築時の欠陥工事が発覚したりするケースもあったという。購入前診断を行ったのはこれまで3棟で、まだ購入に至ったケースはない。
「今後は築古物件の選定方法のセミナーなども行っていきたい」(傍島社長)
満室ラボ
愛知県一宮市
傍島啓介社長(46)
(2023年2月27日7面に掲載)