三菱商事グループの不動産デベロッパー、三菱商事都市開発(東京都千代田区)は、東京都目黒区に高級賃貸住宅「CALM(カーム)代官山」を完成させ、3月7日から入居を開始した。すでに全戸成約済みだ。
商社系列のネットワーク活用
同物件は、東急電鉄東横線代官山駅から徒歩約5分に立地する、全19戸の賃貸マンション。各専有部は約100~200㎡、間取りは2LDK~4LDK。家賃は非公開。
物件の特徴は、環境との調和を重視した点にある。5983㎡の敷地には、樹齢数百年にもなる大樹を含めた樹木が茂っている。その環境をなるべく残す設計を行った。エントランスを2カ所設け、メインエントランスは既存の樹木を生かした自然豊かなアプローチとした。サブエントランス前には、約240㎡の公開広場を設け、地域住民にも開放する。
メインエントランス側の建物外観は、美術館をイメージしたデザインとした。地下4階、地上2階建てでありながら、高低差20メートル超という傾斜地の特性を生かし、採光も重視した造りとなっている。
三菱商事(同)の海外顧客から、保有する土地の活用について相談を受け、同物件を企画した。三菱商事都市開発が土地を賃借し、建物を建築し、運営する。管理は東急住宅リース(東京都新宿区)が行う。
開発第三部の浅川哲也マネージャーは「旧山手通りから少し奥まった閑静な立地であることから、高所得者向けの賃貸住宅としての用途が最適と判断した。今後も三菱商事のグループ会社としてのネットワークを生かし、土地の価値を最大化する物件を企画していく」と語った。
三菱商事都市開発の2022年3月期の売上高は366億3200万円。これまでの開発実績としては物流施設や商業施設が多くを占めるが、住宅、オフィス、ホテル、ものづくり・研究開発施設なども手がける。
「特に企業不動産(CRE)と公的不動産(PRE)の活用に関する相談はこの2~3年でも増加傾向にある。収益物件として自社不動産の有効活用を選ぶ企業が増えている印象だ。顧客の多様なニーズに応えた提案が求められるようになっている」(浅川マネージャー)
(2023年3月13日1面に掲載)