木質生かしたリノベで差別化
住友林業レジデンシャル(東京都新宿区)は、外国人向け賃貸住宅事業に力を入れる。3月29日には、自社が保有する外国人向け賃貸住宅「芦花公園留学生会館」をリニューアルオープンした。
同物件は、京王電鉄京王線芦花公園駅、および八幡山駅から徒歩6分の場所に立つ。築34年で地下1階、地上3階建て、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造で全65戸。ドミトリータイプで、各居室の専有面積は約12㎡。
2009年に同社が取得し、老朽化していたため修繕に加えて大規模リノベーションを企画した。施工箇所は外構やファサード、コミュニティースペース、共用廊下、共用水回りなど。居室は4月11日時点で10戸がリノベ済みで、残りは退去後に順次施工していく。
木調・木質化された居室
特徴は主に三つ。一つ目は、住友林業グループの強みの一つである、木質感あふれる住空間づくりだ。食事や入居者同士の交流が行われるコミュニティースペースなどに木調のフロアタイルを採用。入居者が安らげる優しい空間を意識した。
二つ目は、外国人特有の課題に対するサポート体制。多言語による入居前案内や生活面のサポートなど、39年にわたる賃貸住宅の管理運営実績を生かし、リモートで対応を行う。
三つ目は、入居者の利便性向上が図られている点だ。オートロックやスマートロックを設置、宅配便の置き配も可能。来日してすぐに生活が始められるよう家具・家電も備え付ける。
ターゲットは沿線の日本語学校や大学に通う留学生や外国人就労者など。募集は主に沿線の日本語学校や大学、留学あっせん会社などを通じて行う。同社は07年から外国人向け賃貸住宅管理事業を始め、すでに50以上の学校や企業とつながりがあるという。
賃料について、リノベ前は平均約6万5000円(電気代別)だったのが、リノベ後は平均約8万円(水道・光熱費、Wi-Fi利用料含む)に設定した。3月からリノベ済み住戸の募集を始め、すべて成約。中国の学生が最も多く、ほかに東南アジアや中央アジアからの学生、就労している外国人、日本人もいる。
同社が管理する外国人向け賃貸物件は、24年2月時点で6物件282戸。うち1棟は全33戸の東京都江戸川区にある外国人向けのサブリース物件で、同様のコンセプトで3月末にリノベを行った。
今後も、同物件をモデルとして1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)にあるほかのサブリース物件を順次リノベしていく予定。
住友林業レジデンシャルの大西宏嗣執行役員は「外国人向け賃貸住宅の需要が増していくことを見据え、50~60戸規模の物件を年1棟程度仕入れていく計画」とコメントした。
(2024年4月22日2面に掲載)