大和ハウス工業(本社:大阪府大阪市)は、23日、高遮音床「サイレントハイブリッドスラブ50」を開発したと発表した。木造および軽量鉄骨造の賃貸住宅では業界初となる遮音性「LH--50」と「LL--40」を実現した。今後順次、同社商品に搭載していく。
「リブ付き断面」
「サイレントハイブリッドスラブ50」は、土木や橋梁建設に強いエム・テック社と共同で開発した。高層ビルで使用されている高強度のプレキャストコンクリート版を低層の賃貸住宅向けに採用したもので、コンクリート版の表面にある突起「リブ付き断面」が、床衝撃音を低減するとともに、上階の遮音性能を向上させた。前述の性能値「LH--50」は、鉄筋コンクリート造のマンションのコンクリートスラブで、270mmもの厚さに相当。同社の従来商品と比較して聞こえる音は3分の1程度になるという。
同社の取締役常務執行役員堀福次郎氏は、「当社が行った入居者アンケートでも、不満項目の第一位が、上下階の遮音性です。また警視庁の統計でも一般家庭・賃貸住宅等の環境関係苦情の約半数が人声音という結果が出ています。この問題に真剣に向き合う必要を感じていました」と語り、新製品の開発に自信をのぞかせた。
同社は、新築賃貸市場の縮小に危機感を感じつつも、「シェアの拡大」と「新分野への進出」を軸に、事業拡大に強気の姿勢を示した。大和ハウス工業は、中期3カ年計画で、売上高2兆円の目標を掲げている。約30%に匹敵する6100億円を賃貸住宅領域で達成する考えだ。
目標は150棟
同日付で、店舗併用型3階建て賃貸住宅商品「アバンウェルディッツオーHV」も発表。1階部分に、30〜200平方mの小規模店舗を誘致できる商品で、賃貸オーナーの収益を確保する。「調剤薬局や当社の営業所等の出店を見込んでいます。一般的なコンビニは150〜200平方mですから、30平方mとなると今までになかったタイプ。店舗探しに苦労していた小規模店舗の出店に対応できます」(堀取締役常務執行役員)プランは立地にあわせた自由設計。年間の販売目標は150棟。まさに新市場を狙った商品であり、今後、売上の上乗せを期待している。