東京オリンピックに向けて増加する訪日外国人が主要対象
賃貸住宅の空き家を旅行者に提供するサービスが誕生する。
弊社の5月19日号の紙上でも掲載したが、賃貸仲介大手エイブル(東京都港区)と宿泊サイト運営のとまれる(東京都千代田区)が、業務提携し、「国家戦略特別区域法」の旅館業法の提供除外を活用するサービスをオンライン宿泊マッチングサイト「TOMARERU」を通じて提供。
このほど同サービスの詳細について発表した。
サービス開始は2014年秋を予定。
対象エリアは国家戦略特別区域法が指定する地域、東京9区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品川区、大田区、渋谷区)、千葉県成田市、神奈川県、京都府、大阪府、兵庫県。
宿泊登録物件数は2015年3月末までに3000件を目標としている。
今回のサービスは、国家戦略特別区域法が指定する地域で、エイブルが既存オーナーまたは新規オーナーの空室を対象に提供する。
オーナーは、物件の賃貸に加え、新たな運用法の選択肢として同サービスを活用でき、旅行者にとっては、日本での宿泊施設として賃貸物件が加わることで、より選択の幅が広がる。
今回の新サービス誕生となった背景には、前述したように国家戦略特別区域法の旅館業法適用除外があるが、これに認定されるための物件条件例(政令)は、次の通り。
7~10日以上の滞在。
訪日外国人旅行者の滞在に適した施設であることで、具体的には広さが25m2以上、バストイレ・冷暖房完備・衛生的であること。さらに施設の使用方法に関する外国語を用いた案内のほか、緊急時対応、外国人旅客との契約に基づく役務を提供する体制が確保されていることだ。
「TOMARERU」はサイト上で宿泊施設を案内するほか、コールセンターを設け、物件オーナーおよび滞在中の宿泊者の要望などにも対応する。
さらに認定条件となる、家具や寝具、食器類、キッチン用品、リネンなどのレンタルをはじめ、鍵の管理やクリーニング、メンテナンスなど宿泊施設としてのサポートサービスも物件オーナーの希望により、同時に提供していく。
某シンクタンクの試算によると、東京オリンピック選手村10キロ圏について、4万泊の需給ギャップがあるという。
このピークを補う方法として、今回の新サービスのような民間住宅に泊まる「民泊」が有効だと主張する。
エイブル梁瀬泰孝社長は「空室に悩むオーナー様にとって、建て替えやリフォームが難しいことがあります。今回の業務提携により、旅行者に提供するという選択肢が増えることはよいことだと思います」と語った。
家賃等は最終的にはオーナー判断になるが、周辺のホテル・旅館と比較して、安く提供できると考えているようだ。