7月に債権者集会を予定
住宅確保要配慮者を専門に賃貸管理・仲介を行っていたメイクホーム(東京都足立区)が3月28日付で破産した。元従業員らによると破産理由は社長を務めていた石原幸一氏の私的流用であるといい、「負債額は1億円にも上るのではないか」と話す。
元従業員らへ倒産する旨が伝えられたのは2月15日の朝で、石原氏から倒産の理由が私的流用であるとの説明があったという。
同社は賃貸管理のほか、投資用不動産の物件探しや契約代行を行っていた。オーナーから投資資金を預かり、その資金内で投資用不動産を選定し、物件の取得を代行。代行で取得した物件の所有権はオーナーにあり、運営・管理は同社が行うスキームだ。
3月12日の取材時点で、同社は5人のオーナーから投資資金としてそれぞれ1000万円以上を預かっており、そのうちの1人のオーナーからは3000万円を不動産の取得資金として受け取っていた。元従業員らは、そのオーナーへ提案するために集めた物件情報を石原氏へ何回か打診していたが、どの物件にもあいまいな回答しか返ってこず、首が縦に振られることはなかったという。そうした中、従業員に破産が告げられた。
同社へ管理を委託していたあるオーナーは、2月分の家賃が振り込まれていないが、回収は難しいとみている。
同オーナーは2017年ごろから同社に2棟10戸の管理を委託。
2月15日に、家賃の振り込みが遅延する旨が記された通知書が届いたことから、不信に思った同オーナーは翌日に少額訴訟を提起。だが、石原氏が3月13日に破産管財人を立て、財産の整理を始めたことから訴訟は中断した。
7月には債権者集会が行われる。その際、どれだけの財産が石原氏に残っており、金銭債権が回収できるかが破産管財人から説明される。
「破産管財人からは数百万円程度の資産しか見つかっていないと聞いており、負債の回収は難しいと想定している」(同オーナー)
(2024年5月20日1面に掲載)