OYOLIFE(オヨライフ:東京都千代田区)が2019年11月頃から、転貸戸数を積極的に増やす急拡大路線を見直していたことが分かった。同社グロース統括責任者・山本竜馬氏が、10日の本紙インタビューで明らかにした。
〝第2のウィーワーク問題〟が影響
サブリース戸数は現在の1万戸弱を維持しつつ、当面は稼働率の引き上げと物件運営の質向上を急ぐ。稼働率は非公開だが「8割を下回る」(山本氏)と高くない水準だという。そのため、これまで仕入れに時間を割いていた従業員は現在、稼働率を引き上げるための仲介会社営業に労力を振り向けている。
運営体制が不十分な大阪・名古屋では、すでに新規募集を停止している。再開は未定。既存入居者の契約は継続しているという。
同社の方針転換は、19年秋に明るみに出たシェアオフィス『wework(ウィーワーク)』の運営会社、米ウィーカンパニーの赤字問題が密接にかかわっている。
同社の7~9月期の最終赤字は約1300億円と前年同期の2倍以上に膨らみ、出資先のソフトバンクグループの投資方針に懐疑的な見方をする投資家が増えた。
同じく出資を受ける印オヨでも、純損失が19年3月までの1年で前年比6倍の約3600億円に膨らんだと報道された。傘下のオヨライフも収益性の改善に目を向けざるを得なくなった。
同社は「予約手数料」という入居契約時の新しい料金形態を8日に導入した。予約対応スタッフ、物件の入居前準備のサービス費、365日対応のカスタマーサポートのサービス費、クレジットカード手数料などをまかなう費用に充てる。
同社は契約後のクレーム増を受け、管理システムやオペレーションを適宜改善し始めた。転貸戸数の積み上げを優先してきた反動から、入居後の対応ミスが目立つようになった。
鍵が入っているポストの暗証番号を誤って伝えるといった運営実態について、一部で非難の声が上がっている。山本氏は「カスタマーサービスが不十分。一連の不手際に真剣に向き合っているところ」という。
現在同社は、ビジネスモデルの転換を模索している。ユーザーの入居が決まってからオヨライフが部屋を借り上げる仕組みを検討している。
「客がついていない状態で部屋を借り上げる現在のビジネスモデルに対する疑問が、社内から出てきている」(山本氏)
さらに今ある転貸物件のストックを使って、サンプリングビジネスや広告ビジネスなどを展開し、関連需要を喚起したい考えも示している。