デザイン制作や建築デザインを行うSee Visions(シービジョンズ:秋田市)が手掛けた『ちょっとソコまで、SOKOまで。』が、「RENOVATIONOF THE YEAR2019」の拠点創出リノベーション賞を受賞した。
ライブラリー併設の複合施設
近年ほぼ使われることがなかった築44年の空き倉庫『ヤマキウ南倉庫』を、2階建て複合施設として再生させた。
建物は不動産管理会社が酒類卸用に所有していたが、2015年にオーナーから、「物件を壊さず残し、街のにぎわいづくりに生かす方法を一緒に考えてほしい」と同社に相談があった。話し合いを重ねる中で、つくりたかったのは「誰もが足を運べる集いの場」だった。人口減少と高齢化が進み、徐々に活気がなくなってきた地域ににぎわいを取り戻すため、生活者目線で建物を魅力化しようと計画した。
以前から闘病中だったオーナーは着工途中で亡くなった。「できるだけ景色を変えずに、地域課題の解決を」という遺志を引き継ぎ、完成させたのは屋根付き公園のある複合施設だ。地域住民にとって"見慣れたカタチ"の外観はなるべく変えず、主に建物の細部や内部を改修。屋根付き公園は、だれでも自由に行き来できる造りとした。