スルガ銀行不正融資被害弁護団(以下、SI被害弁護団)は、4日、スルガ銀行(静岡県沼津市)による不正融資問題に関して相当な解決を図るための調停申し立てを東京地方裁判所へ行った。
スルガ銀行の不正融資を主張
申立人は、不正な融資によってアパート・マンションを高値掴みさせられたとする、スルガ銀行不正融資被害者同盟(以下、SI被害者同盟)のオーナー388人。融資を受けた物件は719棟で、融資総額は972億2927万円に上る。
今回の調停申し立てと併せて、スルガ銀行が先のオーナー388人に対して代位弁済や債権譲渡手続きを実行できないよう求める、調停前の措置申し立ても行った。SI被害者同盟のオーナー56人に対して、スルガ銀行が債権回収のために、担保不動産の競売開始決定や賃料差し押さえ命令の申し立てを行っていることへの対抗措置となる。
SI被害弁護団は、SI被害者同盟のオーナーがスルガ銀行から融資を受けた703件について、不正が疑われる行為に関する調査をも実施した。
不正行為ごとの該当率は以下の通り。「自己資金改ざん」99%、「レントロール改ざん」84%、「物件概要改ざん」52%、「偽造売買契約書・二重契約書がある」99%、「手付金・中間金の偽造領収書が作成されている」91%、「フリーローン・定期預金などの抱き合わせ融資がある」90%、「購入当時、家賃保証やサブリースがある」68%。
SI被害弁護団の団長を務める、さくら共同法律事務所(東京都新宿区)の河合弘之弁護士は、「本命は直接交渉による決着。しかし、スルガ銀行側が時効を持ち出す可能性があること。そして、被害者の自宅が競売にかけられるのを防ぐために調停を申し立てざるをえなかった」と話す。
(2022年2月14日1面に掲載)