10.29 大阪高裁で更新料有効判決

法律・制度改正|2009年11月02日

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更新料は消費者契約法10条または民法90条に反し無効として、元借主が支払済み更新料26万円の返還を貸主に求めていた訴訟で、10月29日、大阪高裁は借主側の訴えを退ける判決を言い渡した。3月27日に大津地裁が貸主勝訴判決を下していた訴訟の控訴審で、第二審でも更新料の有効性が認められた。7月23日の京都地裁判決以降、8月27日の大阪高裁、9月25日の京都地裁と、「更新料無効」判決が相次いでいただけに、ひさびさの明るい話題となった。

大阪高裁が下した判決は、その内容からして貸主を勇気づけるものだ。

判決では、更新料は消費者にとって一方的に不利益になるものではないとし、消費者契約法10条および民法90条に反するものではないと結論付けた。また、更新料は賃貸事業の投下資本回収・利益追求の手段として合理性があると認めた。

貸主更新料弁護団代表の田中伸弁護士は、「常識的な判決。現実から離れた法理論の議論ではなく、実態に即した判断」と評価している。

今回の判決の特徴の一つは、礼金との更新料の金額の関係性を明確にした点だ。礼金を賃貸借契約の締結時点で「比較的短い賃借期間に相応した賃借権設定の対価」とし、一方、更新料を「賃借権設定の対価の追加分ないし補充分」と位置づけた。さらに、賃貸借契約の期間2年間に対し、礼金が賃料の4カ月分弱、更新料が2カ月分と設定されていることについて、「更新料が礼金の金額に比較して相当程度抑えられているなど適正な金額にとどまっている限り、直ちに賃貸人と賃借人の間に合理性のない不均衡を招来させるものではない」とした。また、借主は十分な情報に基づき更新料の設定された物件を選択している点にも着目し、中途解約の際に返還されなくとも借主にとって一方的に不利益というわけではない、とした。

(財)日本賃貸住宅管理協会京都府支部長の吉田光一氏は、「ほっとした。8月の無効判決以降、本当に情勢が厳しくなっているだけに、今回の勝訴判決は嬉しい」と胸をなでおろした。

 11月22日には、更新料問題を考える会を中心に家主の決起集会の開催が予定されるなど、貸主の団結を強めようとする動きが活発化している。

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