当記事は賃貸住宅フェア2024in東京で講演したセミナーを書き起こしたものです。
講演者
オーナーズエージェント
東京都新宿区
太田拓郎コールセンター事業部エグゼクティブマネージャー(47)
カスハラから若い世代を守る
上司が即時にモニタリング
厚労省も問題視 マニュアルを配布
私はコールセンター業界で25年間、賃貸管理会社向けの入居者コールセンターを運営するオーナーズエージェント(東京都新宿区)で、8年ほど働いてきた。近年、問題となっている顧客による著しい迷惑行為であるカスタマーハラスメント(カスハラ)について、自分たちが会社としてどのように取り組んでいるのか、実際の事例を中心に話していきたい。
このコールセンター業務は離職率が高い。それは理不尽なクレームへの対応が多く、神経をすり減らしてしまうからだ。実際のところ、私が入社した8年前は10人のオペレーターが入社したらそのうち9人は辞めていくというのが実情だった。
しかし、昨今は世の中の流れが急速に変わってきた。この2〜3年でカスハラという言葉が広まり、問題視されている。厚生労働省でも対策ガイドラインを作成して、マニュアルを配布している。
弁護士と事前相談 通報の基準定める
そんなカスハラがまだまだはびこっている世の中だが、どのように対策をしていけばいいか。まず、会社としてカスハラは認められるものではないというスタンスをつくることが大事だ。カスハラに対して毅然(きぜん)とした対応を打ち出し、それを社員に宣言してほしい。
続いて、カスハラ対策規定というものを作って、周知しておく。こんなときはこうする、ここまでいったら警察に通報。そういった規定を、あらかじめ弁護士らと相談して決めておく。これがあるとないのとでは、実際にカスハラを受けたときに実際に対応する人の心境が違ってくる。
顧客情報を共有 次回の対策を練る
次に、実際に私たちが行っている対策について説明する。コールセンターのスタッフが使うパソコンは、全員のものがつながっている。そのため、もしカスハラとおぼしき状況に見舞われたら、すぐにグループチャットを使って上司に報告してもらっている。上司は即座にモニタリングを開始し、オペレーターと一緒に電話をかけてきた顧客からのクレーム内容を聞く。スタッフだけに聞こえて相談者には声が届かない機能があるので、上司がオペレーターにリアルタイムでアドバイスを送りつつ「ここまで言われたら切っていい」と伝え、部下が疲弊しないようカバーする。
続いて全メンバーに向け、対応が終わった後に顧客情報を共有する。また同じ顧客から電話がかかってきたら誰に直接つなぐのか、今後の対策の方針、もう対応しないから切っていい、などの方針を決める。私たちにはクライアントとして管理会社がいるので、そちらと相談のうえで対応について決め、社内での周知を行う。カスハラをしてくる人はだいたい一度や二度の連絡では終わらないので、その後の対応について決めておくことが重要になってくると思う。
われわれの業務には電話応対マニュアルというものがある。応対マナーやあいさつの文章などが準備されており、いつでもパソコンで見られるようにしてある。その中にはカスハラへの対応も加えている。何十種類もの対応を用意しておいて選択できるようにしておけば、書いてあることをそのまま読めばいいだけなので、つらい対応も少しは楽になるはずだ。
つまらないカスハラごときで若い芽を摘まれることは避けなければならない。われわれ上の世代が若い世代を守る。そんな時代になってきたと思っている。
(2024年12月9日13面に掲載)





