全国賃貸管理ビジネス協会(以下、全管協:東京都中央区)と、公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会(以下、ちんたい協会:東京都千代田区)は5月15日、賃貸住宅の大規模修繕積立金制度である「賃貸住宅修繕共済」の販売開始を発表した。共済制度を利用することで、オーナーは掛け金の全額を修繕積立金として経費計上できることになる。共済制度の運営は、全管協とちんたい協会が合同で設立した全国賃貸住宅修繕共済協同組合(同)が手がける。
全管協、ちんたい協会共同で組合立ち上げ
同共済は、代理店である管理会社を通じてオーナーが共済に加入し、組合員となることで利用できる。管理会社は年1回、建物の定期検査を実施。修繕箇所があればオーナーに提案し修繕を行う。オーナーは管理会社からの見積もりを基に、組合に共済金の請求を行い、組合が工事会社に共済金を支払う仕組みだ。
5月17日現在、代理店数は314社で、共済の契約件数は201件。
現時点で対象となる工事は外壁と屋根裏・軒裏のみ。契約時の築年数の条件は、木造・軽量鉄骨造であれば築50年以内、それ以外であれば築60年以内とする。共済期間は10~50年間で自由に設定でき、累計50年まで更新することが可能だ。一方、満期時・中途解約時のオーナーへの解約返戻金はない。物件の名義人が変更になった際は共済金の名義変更が可能だが、対象物件の変更は不可。
同組合事務局の溝端祐三課長は「全共用部の工事が対象となるよう、国交省と協議を重ねていく」とコメントした。
(2023年6月5日1面に掲載)