みなし仮設、供給足りず

公益社団法人石川県宅地建物取引業協会,公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会

管理・仲介業|2024年01月20日

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 能登半島地震における、石川県内の避難者は2万6000人を超えた。国土交通省は、被災者に対し、県外の公営住宅の空き住戸の提供を開始。石川県や富山県は、県内の公営住宅のほか、民間の賃貸住宅を活用した「賃貸型応急住宅(みなし仮設)」の供与を発表した。

4日で280組が来店

 石川県では、県内の不動産3団体を窓口に、入居希望者へ住宅をあっせんする。団体は入居希望の被災者に対し、みなし仮設に登録した物件を紹介する。みなし仮設は所有者から市区町村がいったん借り上げ、入居者に転貸する仕組み。家賃は行政が負担する。入居期間は最大2年間。石川県土木部建築住宅課の担当者は「入居希望者の連絡はひっきりなしに来ている。目まぐるしく状況が変化し、数は集計できない」と話した。

 窓口になっているのは公益社団法人石川県宅地建物取引業協会(以下、石川宅建:石川県金沢市)、公益社団法人全日本不動産協会(東京都千代田区)の石川県本部(以下、全日石川)、公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会(同・以下、ちんたい協会)の石川県支部および金沢支部。

 石川宅建の、14日時点のみなし仮設の登録物件数は948戸件で、約7割が金沢市所在となっている。全日石川の15日時点のみなし仮設登録物件数は29戸で、所在地は金沢市と加賀市がメインとなっている。入居希望者からの問い合わせが非常に多く、集計がしきれていない状況だ。特に10日は、かほく市の公営住宅への入居抽選の結果、落選した被災者からの問い合わせが集中した。

 ちんたい協会金沢支部では、約700戸の空き物件をみなし仮設として提供する用意があるという(9日時点)。ただ、被災者の罹災(りさい)証明書の発行には時間を要することから、すぐに対応するのは難しいとしている。そのうえで、まずは普通の賃貸契約で入居してもらい、罹災証明書が発行できた段階でみなし仮設としての対応を取るという。

 不動産会社も支援に動く。クラスコグループ(石川県金沢市)は5日に被災者に対し、空室を提供することを小村典弘社長が「インスタグラム」で発表。対象物件では仲介手数料を無料にし、家賃を同社が半額負担することにした。対象物件は60戸に及ぶ。6~9日の4日間の来店者数は280組に及び、そのうち72%が被災者だったという。「12日時点で被災者用に用意した物件の半分ほどに申し込みがある」(小村社長)

小村社長のインスタグラム画像

小村社長のインスタグラム

 のうか不動産(同)は地震発生後の2日、今回の震災による被災に伴う住居の仲介手数料を無料にすることを発表した。個人による入居や被災した法人の事務所移転の相談があり、9日時点で問い合わせ件数や来店客数については集計できていないという。仲介手数料無料の措置は、当面の間は続けるとする。

 絹川商事(石川県野々市市)は、被災者の不動産相談窓口を自社サイトに開設。管理物件において、仲介手数料を無料にした受け入れの方針を示した。15日時点で、被災者からの入居申し込み・契約実績は35件。「その多くが、能登地方で被災した両親を呼び寄せる息子・娘からの問い合わせだった」(絹川善隆社長)

(2024年1月22日2面に掲載)

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