エイマックス、創業4年で売上高104億円【成長企業インタビュー】

エイマックス

インタビュー|2024年07月11日

 収益不動産の販売・管理を行うエイマックス(東京都新宿区)は、創業4年で売上高104億円へと伸長した。管理に軸足を置いた物件の仕入れを強みに、成長に弾みをつける。

管理の質担保、マンパワー注ぐ

経常、前期比40%増 月平均37戸販売

 エイマックスは、中古の投資用区分マンション買い取り再販と販売後の賃貸管理を中心に事業を拡大する。取り扱う物件のエリアは東京23区、神奈川県横浜市、川崎市がメインで、5月末時点での管理受託戸数は1252戸となっている。

 2020年2月に設立。その後すぐに新型コロナウイルスの感染が急拡大し営業が行いにくい状況となったものの、業績は創業以来、右肩上がりだ。24年1月期の売上高は前期比25%増の104億円、経常利益は40%増の3億55万円(グラフ参照)

売上高と経常利益の推移

 販売実績は1期目の26戸から4期目には401戸まで押し上げた。同期中には一棟物件も、5棟を販売。25年1月期は区分の販売営業5人で、2月〜6月末までの間に185戸を販売した。月平均で37戸を販売した計算だ。

 中古区分マンションの販売・管理を手がける会社が数多くある中で、同社の大きな特徴は賃貸管理にビジネスの重心を置く点にある。

 天田浩平社長は「オーナーの立場から見て、長く付き合いたい管理会社でい続けたい。そのために、できるところは徹底的に効率化・仕組み化しています」と話す。

 物件仕入れの際にも管理を軸にする。管理受託後にリーシングがしやすいか否かを最重視した仕入れを行っている。「仕入れは管理の目線でも非常に重要な部分ですので、私の最終承認がないと決済ができないフローにしています。担当者の好みによらずに、仕入れ物件の価値を安定させています」(天田社長)

物件の経営担う 標準・効率化進める

 管理事業を統括するのが、共に創業した荒井陽一朗取締役だ。

 荒井取締役は前職で4年弱、管理の受託営業と賃貸管理の現場を担当。その経験を踏まえ、荒井取締役は「賃貸管理とは、所有と経営の分離だと考えています。オーナーが所有、管理会社が経営を担う。オーナー目線でケアすべきところにしっかりとマンパワーを集中させるべきです。そのためにも効率化できるところは徹底的に効率化し、並行して業務を標準化していく。選択と集中が必要です」と話す。

 管理の質を維持するためにリソースを割く。工事の施工チェックには必ず同社の従業員が現地に向かう。自社で協力会社に最終チェックを行うことで、施工の品質を担保できるという考えからだ。

 一方、原状回復工事(以下、原復)やリフォーム工事に伴い発生するオーナーへの連絡業務を削減。そのために、同社では創業から工事保証サービスを展開する。販売後から3年間、原復費用や専有部の設備故障の修繕・交換費用を同社が負担。工事費用の上限や回数制限も設けない。4年目以降は築年数や面積により金額が異なるが、オーナーが保証料を支払う。同施策により、退去後からの平均完工日数は7日間となっている。

 さらに管理業務の標準化を図るため、業務ごとに細かく数字目標を立てている。具体的には、入居率や工事のコスト・施工期間だけでなく、折り返すべき電話に折り返さなかったというような業務の人的ミスを示す「エラー率」、退去の申し込みからオーナーに次の募集家賃の合意を取るまでにかかった日数など。

 そのほか、管理システムも自社で作成する。「Salesforce(セールスフォース)」を基盤に販売から一気通貫で情報を管理することで情報の一元管理と、効率的なデータ分析を図る。自社のオペレーションに合わせて、日々社内でカスタマイズを行っている。「パッケージシステムを導入して、かえって現場に負荷をかけてしまう事例を見てきました。そのため、あくまでオペレーションの効率化の手段として、基礎開発に重点を置いています」(荒井取締役)

二人でリノベーションを行っている様子

リノベ後の室内

(上)天田社長と荒井取締役が二人でリノベーションを行っている様子(下)リノベ後の室内

 そのほか天田社長が大切にしているのは、オーナーとの関係性の継続だ。そのため、物件の販売後も連絡を行うのは管理担当者ではなく、販売営業担当とする。「管理担当は顔も合わせないままコストがかかる連絡をしなければならないので、オーナーにマイナスのイメージを形成されてしまいがちです。販売時に信頼関係ができている営業担当からの連絡であれば、トラブルに発展しにくい傾向があると考えています」(天田社長)

「実直に稼ぐ」証明 一棟の大型化狙う

 同社は今後、取り扱う物件のバリエーションを増やし、総合不動産会社になることを目指す。

 24年1月期からは一棟の賃貸住宅の取り扱いも開始。メインは同業他社に販売し、1棟の平均販売価格は1億円ほどだ。今後、2億円、3億円と取り扱い物件の大型化も狙っていく。そのほか、土地のみの買い取り再販も行う予定だという。

 「区分の収益不動産会社は玉石混交。収益の上がる物件をオーナーに販売して、しっかりとした管理をする。真面目で実直な不動産会社でもしっかり稼げるんだということを証明したい。そのためにもスピード感を持って成長したいと思っています」(天田社長)

日本財託出身、共に起業へ

 同社の天田社長と荒井取締役は、中古収益不動産の買い取り再販と賃貸管理の大手、日本財託の出身だ。

 天田社長は、同社に在籍していた19年には、年間387戸の販売記録を持つトップ営業だった。提携金融機関が行っていたキャンペーンで、14年から5年連続で融資実行件数で全国1位に輝き続けた。「日本財託にいた13年間、良い環境で営業させてもらえたことに非常に感謝しています」と振り返る。

 営業成績の絶頂期に日本財託からの退職を決意。「社会人人生の第1章『営業マン編』をやり切ったと思い、退職しました。区分マンション以外にも挑戦してみたいと思い、創業に至りました」と天田社長はにこやかに語る。

天田浩平社長の画像

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東京都新宿区
天田浩平社長(40)

 

荒井陽一朗取締役の顔写真

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東京都新宿区
荒井陽一朗取締役(33)

(柴田)
(2024年7月8日13面に掲載)

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