建築費高騰、中古再生に商機【2026年 業界予測座談会】
管理・仲介業|2026年01月20日
全国賃貸住宅新聞の編集部が、2026年の賃貸住宅市場を大予測。記者が注目するのは、建築費の高騰や法改正が新築の供給に与える影響だ。賃貸住宅もストック活用への関心が高まる可能性が高い。増え続ける空き家を活用するサービスの増加や、25年に制度改正があった住宅確保要配慮者(以下、要配慮者)受け入れの動きが予想される。
宿泊組み合わせ利回り確保
記者A 26年は、建築費の高騰や法改正が賃貸住宅の新築に影響を与えそうだ。政府は30年に新築住宅でZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)を標準とする目標を立てているが、あるデベロッパーからは建材や人件費が高く、RC造で建築すると費用が回収できない段階に来ているという話を聞く。
記者B ZEHが増えるとすれば、木造のアパートや戸建てビルダーによる供給になるかもしれない。
記者A 実需向け住宅の建築費も上がっており、特に都心部では持ち家を買えない層が増加している。そうした人たちの賃貸需要の高まりを見据えて、戸建て・集合住宅問わずファミリー向けの間取りが増えていくことが予想される。
編集長 25年4月の法改正による省エネルギー基準適合の義務化による影響も大きいようだね。手続きの煩雑化で建築申請が通るのに3カ月以上かかり、完工が後ろ倒しになっていると悲鳴を上げる賃貸住宅の建築会社もいる。
記者C 賃貸住宅の事業性が低下していることで、民泊物件を企画する動きも活発化していきそうだ。建築と管理を行う芙蓉建設(山梨県富士吉田市)では、建築した物件が賃貸住宅ではなく民泊として使われるケースが増えており、建築物件の管理受託が厳しくなっているという。
記者A 宿泊利用を組み合わせて物件の稼働率を上げるという方法は、大手ハウスメーカーも活用し始めている。ミサワホーム(東京都新宿区)は、日数変動型家賃システム「リレント」を展開するUnito( ユニット:東京都目黒区)と協業。一般賃貸と民泊の併用で稼働率を上げる「二毛作システム」を採用している。
記者B 物件のマンスリーとしての運用にも需要があるそうだ。マンスリーは短期契約だがその分家賃は高くなる。民泊やマンスリーを取り入れながら収益性の高い物件としないと、新築の企画が難しい傾向にあると感じる。
編集長 一方でこうした傾向が進んでいくと、民泊の供給過多が心配ではある。東京23区や大阪市では民泊への規制も進んでおり、市況を注視していく必要がありそうだ。
住宅兼ホテルとして「二毛作システム」で運営する物件
空き家向けサービス続々
編集長 ストックに目を向けると、増え続ける空き家を活用したビジネスには可能性があるように思える。25年に東京グロース市場に上場した、空き家の買い取り再販を行うAlbaLink(アルバリンク:東京都江東区)は急成長している。TOKYO PRO MArkEt(トウキョウプロマーケット)に上場した23年12月期に13億3800万円だった売上高は、25年12月期は82億3200万円にまで伸びる予想だ。3年で6倍以上になっている。
記者D 空き家ビジネスは現状はあまり広がっていないので、チャンスはあるように思う。ただし耐震性能などの物件の安全面や、活用方法が課題だ。
記者E 物件の管理方法などを考えると、遠隔で空き家を持つこと自体がリスクとなる。そのため所有者は早く手放したいが、特に人口が減少する地方部では買い手がつくかどうか。賃貸で活用するなら、運営面で地元に住んでいないと難しいところもある。
記者F 解体費や廃材処分費の高騰も懸念材料だ。土地を売るために更地にしたくても、金銭面で解体できない場合があるのではないか。
記者D ハードルがある一方、空き家活用のためのサービスの裾野も広がっている。空きスペースの時間貸しサービスを提供するRebase(リベース:東京都渋谷区)やスペースマーケット(同)は、空き家を時間貸しすることで、改修費をかけずに収益化する提案をしている。
編集長 空き家の活用方法は、26年も新しいものが次々と登場するだろう。引き続き追っていきたいテーマだ。
レンタルスペースとしてRebaseの運営サイトに掲載される空き家
居住サポート住宅、供給増か
記者E 高齢者入居に関しては、25年10月施行の改正住宅セーフティネット法で新設された「居住サポート住宅」の供給に取り組む会社が増えるのではないだろうか。居住サポート住宅は、17年から登録が始まったセーフティネット住宅に比べて改修費の補助が使いやすくなっている。建築会社をグループに持つ会社や、リフォーム提案が得意で築古物件を多く管理する会社は、オーナー提案の一つとして活用できそうだ。
記者A 一方で居住サポート住宅の入居者に対しては、月1回以上の訪問などによる見守りを行う必要がある。この担い手が課題になるだろう。
神奈川県横浜市の居住サポート住宅「まごころアパート松葉台」
記者E 居住支援法人として指定を受けるNPO法人や社会福祉法人などが担い手の有力候補だ。彼らとのつながりづくりは今後の課題となる。つながりづくりの場として国が推進する居住支援協議会が、どれだけ実効性がある活動を行っていけるのかにも注目したい。
記者D 地場建設会社のグループ管理会社であるレントライフ(長野市)は、行政の生活支援関連の課と協業して居住サポート住宅を増やしていこうと計画しているという。高齢者入居に関しては、行政との協業も鍵になりそうだ。
記者E 地方の人口減少エリアの不動産会社からは、仲介件数や入居率の維持のために高齢者の受け入れを強化していきたいという声をよく聞く。地方部において人口減少は進む一方なので、同様の不動産会社は増えていくだろう。




