事業者の人手不足に対応
レンタル収納「ハローストレージ」を運営するエリアリンク(東京都千代田区)は、レンタル収納の運営業務をサポートする「パートナー制度」の本格運用を4月に開始。長年培ったレンタル収納スペース運営のノウハウを生かし、トランクルーム・コンテナ運営事業者を支援。事業者の人手不足問題のソリューションとする。
同制度は、トランクルーム・コンテナボックスを運営中または参入を検討している事業者を対象に、事業の立ち上げから稼働率向上の取り組みまでワンストップで支援し、運営の代行も行う。全国の物件が対象だ。
支援サービスでは、新規でレンタル収納スペース事業を検討している事業者に対しては、法令調査や工事費用の見積もり、マーケット調査などを行う。運営中の事業者に対しては、運営ノウハウを提供し、稼働率向上を支援する。運営代行では、定期清掃や顧客管理、クレーム対応、災害時の緊急対応などを行う。利用料は賃料の10%だ。
同制度を利用する場合は、原則としてハローストレージの看板で事業を行うこととなるが、パートナー事業者の希望により看板は従来のままで、ハローストレージが募集協力という形態を採る場合もある。
同制度を利用するメリットとして、エリアリンクの募集力を生かした稼働率の向上や、人件費・広告費の削減に期待できる点などがあるという。ただ、雨漏りしているような古い物件では修繕する必要があり、改修などで多額の初期コストがかかるため採算が取れない場合も想定される。
4月には同制度を利用したトランクルームが2件オープンした。そのうちの1社は、バイオトイレ事業を展開している事業者。新規事業に優先して人員を充てるため、稼働率の低いトランクルームの人員を削減するとともに事業収支を改善する目的で同制度を利用した。
同制度の契約は4社で、合計約400室。その他、条件合意済みが2社、検討中の事業者も12社ある(すべて6月25日時点)。メイン事業がほかにある事業法人が稼働率の低いレンタル収納スペース事業に課題意識を持ち、相談するケースが多い。
同制度が本格的に開始される前に運営代行していた案件では、トランクルームの稼働率が約20%上がった事例もあった。稼働率上昇に伴う売り上げ増加に加え、人件費や事務所費用、広告宣伝費などの原価・販管費を削減。想定で年間1000万円程度の収益増加につながった事例もある。
エリアリンクの西澤実取締役は「所有している物件に魅力がないという事業者でも、当社の募集力で稼働率が上がった例は多くある。全国で10万室を扱ってきたハローストレージの運営ノウハウを生かし、事業収支の改善に貢献したい」と話す。
2025年までにパートナー制度の利用事業者を10社、代行物件数1000室超を目指す。
エリアリンク
東京都千代田区
西澤実取締役(46)
(2024年7月8日2面に掲載)