「思い」乗せた取引生む
掲載制限設けず 成果報酬型で運用
中古住宅の売り手と買い手をつなぐサイト「家いちば」を運営する家いちば(東京都渋谷区)。同サイトには、7月末時点で1110件の売り物件情報が並ぶ。不動産会社を挟まず、売主が購入希望者と直接商談する「セルフセル方式」を採用することで、売主の思いを乗せた不動産取引を実現している。
2015年に開設した同サイトは、24年7月末時点で累計利用者数が4万5000人、掲載物件数は4600件、成約に至った物件数は1090件となる。
特徴は、売主による情報掲載の自由度が高い点だ。物件の場所や築年数などへの制約がなく、売却希望価格が決まっていなくてもよい。実際に掲載された物件も、雨漏りあり、山林、残置物あり、相続手続きが終わっていないなど「何でもござれ」だ。掲載料は無料。個人情報を明かさずに購入希望者とやりとりできるなど、掲示板に書き込む感覚で手軽に情報交換が可能な場所となっている。
セルフセル方式のため、自らの言葉で物件のアピールができ、売りたい相手も選ぶことができる。一方、写真や文章を用意したり、購入希望者からの問い合わせや現地見学の立ち会いに対応したりと、手間がかかる部分もある。善しあしはあるものの、不動産売買を単純な数字の取引だけに終始させず、コミュニケーションを中心に据えた仕組みにこだわった。売主が持つ物件への理解と思い入れが、買主の意思決定や活用アイデアの着想にプラスに働くと考えるからだ。