家いちば、売主と買主つなぐ住宅サイト

家いちば

商品|2024年08月21日

サイトにはさまざまな経緯を持つ物件情報がならぶ

「思い」乗せた取引生む

掲載制限設けず 成果報酬型で運用

 中古住宅の売り手と買い手をつなぐサイト「家いちば」を運営する家いちば(東京都渋谷区)。同サイトには、7月末時点で1110件の売り物件情報が並ぶ。不動産会社を挟まず、売主が購入希望者と直接商談する「セルフセル方式」を採用することで、売主の思いを乗せた不動産取引を実現している。

 2015年に開設した同サイトは、24年7月末時点で累計利用者数が4万5000人、掲載物件数は4600件、成約に至った物件数は1090件となる。

 特徴は、売主による情報掲載の自由度が高い点だ。物件の場所や築年数などへの制約がなく、売却希望価格が決まっていなくてもよい。実際に掲載された物件も、雨漏りあり、山林、残置物あり、相続手続きが終わっていないなど「何でもござれ」だ。掲載料は無料。個人情報を明かさずに購入希望者とやりとりできるなど、掲示板に書き込む感覚で手軽に情報交換が可能な場所となっている。

 セルフセル方式のため、自らの言葉で物件のアピールができ、売りたい相手も選ぶことができる。一方、写真や文章を用意したり、購入希望者からの問い合わせや現地見学の立ち会いに対応したりと、手間がかかる部分もある。善しあしはあるものの、不動産売買を単純な数字の取引だけに終始させず、コミュニケーションを中心に据えた仕組みにこだわった。売主が持つ物件への理解と思い入れが、買主の意思決定や活用アイデアの着想にプラスに働くと考えるからだ。

 物件情報の掲載の仕方や商談の進め方などは、要望に応じて家いちばのスタッフがサポートする。契約段階では、詳細な物件調査をふまえた契約書類の作成、買主への重要事項説明も行う。これらをサービスとして提供する対価として、基本料金8万8000円と、売買価格の1.5%プラス3万3000円(いずれも税込み)の媒介手数料を売主と買主の双方から得るビジネスモデルだ。

祖業は修繕工事 不動産活用へ伴走

 藤木哲也社長が、家いちばの前身となる事業を行うエアリーフロー(同)を立ち上げたのは11年。修繕やリノベーションを主軸事業とし、その後不動産コンサルティング事業も手がけることになる同社が目指したのは、不動産ストックの活用だ。「『もったいない』の精神を持つ日本で中古不動産の活用が進んでいないことに危機感を覚えた」(藤木社長)

 事業を通して不動産の再生を懸命に手がけるも、1件あたりにかかる手間と時間は大きい。こなせる案件数を伸ばす仕組みを思考する中、セルフセル方式の不動産売買にたどり着く。「どうせやるなら、どこにも掲載されないような物件が多く集まる場所にしたい」と考え、家いちばを立ち上げた。現在、サイト運営やシステム開発は家いちばが、エアリーフローでは売買契約のサポートや不動産コンサルティングを行っている。

コンサルにも注力 20人体制目指す

 藤木社長が現在注力していることの一つが、同サイトの認知拡大とコンテンツの充実だ。空き家の所有者に「家いちば」を紹介する「空き家応援団」という制度を24年4月に開始。紹介先の空き家所有者が「家いちば」に物件を掲載し、売買が成立した段階で紹介者に謝礼を払う仕組みで応援団員を募っている。

 1月には、同サイト利用者からの実際の相談内容とそれに対する回答を、Q&A形式で公開する「家いちば保健室」を開始。不動産の売買や活用に関する実践的かつ具体的なコンテンツを配信することで、サイト利用の活性化を促進する。

 コンサルティング体制の強化も図っていく。サイト利用者が増えるにつれ、買主から、購入後の不動産の活用方法について相談を受けるケースが増加しているためだ。直近では、個人投資家が購入した築古アパートの活用や、神奈川県三浦市の三浦海岸近くにある商店街の再生、宮城県気仙沼市の古い街並みに人を呼び込もうとするプロジェクトなどに取り組む。

 このような案件に対応すべく、23年6月に建築や不動産の実務経験を持つメンバー3人で「コンサルティング事業部」を設立。不動産コンサルをサービスメニュー化した。中期的には20人体制にして対応可能領域を広げ、受託件数を伸ばしていく考えだ。

 上記案件のいずれも、不動産を売った人も買った人も喜んでくれているという。売り手は、不動産に込められた思いを買い手にくんでもらい、買い手はその思いを継ぎながら活用可能性のある物件をリーズナブルに取得できるためだ。「代々受け継いできた不動産ほど第三者に渡したくないという気持ちは強くなりがち。血がつながっていなくても心が伝われば、不動産は再び活力を取り戻すことができる」(藤木社長)

藤木哲也社長(54)

家いちば
東京都渋谷区
藤木哲也社長(54)

(2024年8月19日13面に掲載)

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