企業研究vol.139 And Doホールディングス 安藤 正弘 社長【トップインタビュー】

And Do(アンドドゥ)ホールディングス

インタビュー|2022年01月07日

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And Doホールディングス 東京都千代田区 安藤 正弘 社長(56)

 新興の不動産フランチャイズチェーン(FC)として、今や698店舗(21年9月末時点)を展開するまでになった、And Do(アンドドゥ)ホールディングス(東京都千代田区)。22年1月から持ち株会社制に移行し、基軸事業の「HOUSE DO(ハウスドゥ)」屋号のFC事業、売買事業、ハウス・リースバック事業に加え、リバースモーゲージ保証事業を強化し、さらなる成長を図る。国内で1000店舗を目指す同社の安藤正弘社長に、業績好調の理由や会社の方向性について話を聞いた。

持ち株会社制に移行、国内FC1000店舗目指す

前期売上390億円超 売買事業が好調けん引

―1月から持ち株会社制に移行しました。なぜ社名を「And Do」としたのでしょうか?

 「HOUSE DO」は住宅を扱うイメージが強いので、商業不動産や住宅以外の不動産も取り扱うことを視野にDOは残しつつ、当社の展開のイメージにも合う「&(And:アンド)」を頭に付けて「And Doホールディングス」としました。

―売り上げ、利益ともに好調ですね。

 21年6月期は、売り上げが前年比18.7%増の390億3700万円、営業利益は同36.7%増の25億8900万円と増収増益でした。今期の第1四半期も順調でした。

And Doホールディングスの業績推移

―業績をけん引した事業は?

 売買事業が伸びました。売り上げは146億2400万円と20年6月期と比較し、2倍超になりました。新型コロナウイルス下でもこの1年ほどで、大型ビルや住宅を含めて150億円近くの不動産を積極的に仕入れてきました。その中には、売買事業のために開始した「買取パートナー制度」の案件も含まれています。中小の不動産会社から物件情報を提供してもらい当社が買い取るシステムです。

―現在の不動産マーケットをどうみますか。米国では金融緩和の縮小(テーパリング)が進んでいきそうですが、日本の不動産ビジネスへの影響をどう考えていますか?

 日本への影響はないでしょう。国内に関しては、今後2年間は金融緩和政策が続くとみています。低金利で住宅は売れています。住宅ローン控除の利率が下がったとしても、これからもっと下がるかもしれないと考える顧客がおり、住宅はしっかりと売れていくでしょうね。

―マーケットは堅調さが続くとの見立てですね。これからどの事業に注力していきますか。

 ハウス・リースバック事業とリバースモーゲージ保証事業です。自宅売却ののちに賃貸として住み、希望者は買い戻せるハウス・リースバック事業は、高齢者と事業者の利用が多いです。生活資金やまとまった事業の資金を得るのに有効な手段です。

―高齢化社会で、有望な事業ということなのでしょうか。リバースモーゲージは、日本ではあまり知られていない手法のような気がしますが。

 自宅を担保に資金を借りることができるリバースモーゲージの需要もこれから出てきます。当社では、金融機関が提供するリバースモーゲージに対する保証業務を行っています。リバースモーゲージ保証事業の実績は、21年6月期で累計保証件数562件、累計保証残高は53億4300万円と、この3年で約2倍になりました。引き続き金融機関との提携を増やし、ニーズが旺盛なリバースモーゲージの需要に応えていきたいと考えています。

―安定したストックビジネスになるということですね。海外展開にも力を入れていくということですが、19年にはタイで合弁会社を立ち上げました。現状を教えてください。

 タイでの実績は、コロナの影響もありますが、中古物件の売買とリノベーションで実績が出てきています。タイは、不動産取引を行う際に免許が不要で、日本の不動産ビジネスから40年ほど遅れている印象です。現地のニーズに応えるべくFC事業の展開も準備を進めています。

透明性不足の不動産業界 中小の底上げで競争力

―22年5月までに不動産契約の完全オンライン化が実現します。不動産ビジネスはどう変化するでしょうか?

 特に変わらないと思いますよ。業務効率化は多少進むかもしれませんが、それは日本の不動産ビジネスの課題の核心ではありません。

―不動産ビジネスの課題の核心とは?

 まず、情報のオープン化がされていないこと。そして、不動産取引の安全性が保証されていないこと。この2点です。米国では、不動産取引に必ず第三者機関が入り、取引の安全性を担保します。そのため、個人営業のエージェント制が成り立っています。日本は、米国のようなビジネスモデルではないため、ブランド力のある大手に顧客が集まる。そのため業界全体の情報のオープン化が進まない。国内で不動産ビジネスを活発化させるためには、中小不動産会社が競争力をつけ、情報を共有するのが合理的だという認識を業界内で広めることです。そうすれば、共通のデータベースができるはずです。

―加盟店数は698店舗まで増えてきましたが、開拓の余地はありますか?

 25年に国内1000店舗を目指しています。顧客が安心して不動産取引を行うためには、中小不動産会社側のレベルを上げていく必要があります。当社のFCに加盟することで、不動産取引の健全性を普及させていきたい。アジアで5万店舗というビジョンを掲げつつ、地域に密着し信用される不動産店舗をつくっていきます。

15回を重ねた全国大会

 FC加盟店らが参加する「ハウスドゥ!全国FC大会」は21年11月で15回目の開催となった。同イベントは、安藤社長の基調講演をはじめ、全国の加盟店向けにハウスドゥのビジョンの発表や、直近3カ月での成績を競い合うコンペティション成績発表を行う。加盟店との情報共有やモチベーションアップが狙いだ。

 コロナ下の20年、21年はオンラインで実施した。

19年にリアルで開催し1816人を集めた全国大会の様子

19年にリアルで開催し1816人を集めた全国大会の様子

会社概要

社名:And Doホールディングス
所在地:東京都千代田区丸の内1丁目8番1号 丸の内トラストタワーN館17F
設立:2009年1月(創業1991年)
資本金:33億7433万円
事業内容:FC事業、ハウス・リースバック事業、金融事業、不動産売買事業、不動産流通事業、リフォーム事業

会社メモ

1991年4月、グループ代表の安藤正弘氏が京都市内で不動産仲介会社を創業。2006年2月にフランチャイズ事業を開始。12年2月に、住宅ローンのあっせんや代行を目的としてHOUSE DOローンサービス(現フィナンシャルドゥ)を設立。15年3月に東証マザーズ上場、16年12月には東証一部へ市場変更。And Doホールディングスを設立し、22年1月から持ち株会社制に移行。

社長メモ

1965年6月11日生まれ。京都府出身。91年に不動産売買仲介会社を創業。その後、2009年に、FC事業を行うハウスドゥ・フランチャイズ・システムズ(現ハウスドゥ)、金融会社、住宅販売会社などを次々と立ち上げる。趣味はゴルフでスコアは80~85の腕前。

(2022年1月3・10日22面に掲載)

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