NSグループ、家賃債務保証専業 売上263億円【上場インタビュー】

NSグループ

インタビュー|2025年12月26日

NSグループ 大阪市 大塚 孝之 社長

「業界の認知度向上目指す」

 家賃債務保証(以下、保証)会社大手の日本セーフティー(大阪市)を擁するNSグループ(同)が、12月16日、東証プライム市場に上場した。保証業界の存在感を高めていくことを目指す。住居用保証においては、中小の不動産会社との提携を強みに、住宅確保要配慮者(以下、要配慮者)の入居支援に注力していく。グループのトップを務める大塚孝之社長は更なるシェア拡大に意欲を示す。

審査通過率9割超、回収に強み

経常98億円超え 利益率37%に向上

 NSグループと日本セーフティーのトップを務める大塚社長は「家賃債務保証マーケットの規模は居住用と事業用を合わせて2600億円といわれており、日本のGDP(国内総生産)600兆円と比較すると小さいマーケットで社会に認知されていない。当社の上場により、さらに保証業界のプレゼンスを高めていきたい」と語る。

 業界大手として上場し、世の中に理解される企業にならなければ、産業としてのサステナビリティーが保てないのではないかとの危機感も上場の後押しになった。

 NSグループは持ち株会社で、主要事業会社は日本セーフティーの1社。

 同社の2024年12月期の売上高は263億4800万円。経常利益は98億2300万円。利益率は37.2%。前期に比べ、売り上げは10.2%、利益は12.2%伸ばした。グループの従業員数は臨時雇用も含め763人、そのうち日本セーフティーの従業員は701人(9月末時点)。

売上等推移

 日本セーフティーは保証事業を専業とする。全体の売り上げのうち、7割が住居用、3割が事業用、トランクルーム、駐車場など。

 「シンクタンクの調査によると、居住用のマーケットの年間の成長率は6%、事業用は14%ほどだという。居住用でしっかりとキャッシュを稼いでいきながらも、事業用に注力していく流れだ」

6万6000店と提携 ネットワーク強み

 日本セーフティーの強みは、全国の中小不動産会社とのネットワークだと話す。

 「当社の売り上げのうち、新規保証料と更新料が約半々。6万6000店の不動産会社の取扱店が一番の強み。管理戸数1250戸以下の管理会社が9割以上だ。そこから新規の顧客を紹介していただいている。新規の契約を足し算で増やせている」。実際、取扱店はこの15年で3倍以上に伸びた。

オフィスの様子

日本セーフティーのオフィスの様子

 同社が中小の管理会社に受け入れられる理由として、大きく三つあると大塚社長は話す。一つ目は保証業界ができた時から事業を行っている点。二つ目は審査通過率が高い点。三つ目は集金代行や業務支援システムを提供することで管理会社のオペレーションを楽にしている点だ。

 二つ目の審査通過率は90%を超える。豊富な経験を持つ回収チームがきめ細やかに賃借人に対応することで、高い回収率を維持している。代位弁済率は、20年度に10%ほどだったのが、24年度には7%にまでに低下した。

 三つ目については、集金代行にて借主から預かった家賃などを送金する。その際、家賃と管理料その他の料金を分割して異なる送金先に直接送金ができる「分別送金サービス」を展開。競合他社での展開はほとんどないとして、差別化になっているとみる。

 加えて「N‐pallet(エヌパレ)」という管理会社・オーナー向けウェブ・アプリの業務支援システムを提供。契約・滞納状況の確認ができる。

 送金や集金代行についても、オーナーへの送金明細や集金代行サービスの送金報告書などのダウンロードが可能。契約などの手続きをシステム上で行うことができる。

N-palletの画面イメージ

N-palletの画面イメージ

 「大手の管理会社は、自社でIT投資をし、デジタル化することで業務効率化を進めコストを下げることはできる。だが、当社の取扱店である小規模な管理会社にとって、自社での投資というのはハードルが高い。その部分を当社が無償あるいは一部有償という形で、提供することで事業全体としての成長性もある」

家賃上昇追い風 要配慮者に商機

 日本セーフティーが事業環境として追い風に感じているのが、家賃上昇と国の要配慮者受け入れ促進の方針だ。

 同社が保有する契約のうち7割が関東・関西のうち都市部。「インフレのプラスの影響を受け、東京都・大阪府で賃料が上昇している。当社の収益構造において賃料が重要。都心部を中心に賃料が上昇していくことで、収益も向上する」

 要配慮者の受け入れについては、長期的な視野で経営へのインパクトを捉える。

 「国は改正住宅セーフティネット法により、需給ギャップを埋めることを目指している。日本においては、人口は減少しているが、世帯数は増加している。その大きなドライバーが、高齢者や外国人。一方、供給側ではオーナーの貸し渋りがあるが、空き家も多い。そんな中、当社は過去・現在にわたって、社会的弱者と呼ばれる人たちを受け入れてきた。国は要配慮者を受け入れる居住サポート住宅を年間1万戸整備していくとしている。インパクトは短期的ではなくて、中長期的なところにある」

 業界構造として、リスクの低い入居者を取り入れたい保証会社が多い傾向にある。

 社会的弱者をしっかり受け入れるプレーヤーが少ないのは、長い目で見ると追い風だと同社は考える。

周辺サービス強化 AI活用も推進

 現在、注力しているのが、事業用保証の案件拡大だ。事業用に関しても、日本セーフティーがメイン商圏とする東京の都市圏と関西のマーケットが大きい。

 その商圏内で、これまで居住用で取引があった管理会社と事業用案件での提携が始まっているという。

 AI(人工知能)の活用も進める。審査の予測モデルの構築だ。同社が約30年にわたって蓄積してきたデータやその周辺のノウハウを学習させたAIによる審査予測のSaas(サース)基盤を開発。Data Robot(データロボット)というIT企業と組み、4月から運用を開始した。

 「審査に通すべき案件の取りこぼしに対応していく。AIを使うことで、精度が高く判断できるようになる。貸し倒れや滞納の確率を予測することで収益改善につながると理解している。滞納率が上がるのは契約から2年以降で見えてくるため、効果を実感するのも2年後になるだろう」

 併せて、保証の周辺領域のサービスの提供にも意欲を見せる。例えば、他社と提携し、駆け付けサービスをオプションで提供。要配慮者の見守りなどに対応することで、オーナー・入居者双方に安心が提供できるようになる。

 「周辺サービスの数がたくさんあるということで、価格決定の主導権を当社が握ることにもなる。提携企業からすると、当社経由で多くの顧客にリーチできる。管理会社からすると、当社との提携によってさまざまなサービスを受けられるようになる」と大塚社長はコメントする。

 「当社のマーケットシェアは10%強ほど。それほど大きいわけではない。シェアを高める中で、サービスレベルを上げていくところはまだまだ伸ばせる」

会社データ

(河内)
(2025年12月22日20面に掲載)

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