地方に眠る空き家や遊休不動産を、収益を生む宿泊施設へ。Enagic(エナジック)が展開する「CocoPaku(ココパク)」は、マーケティング発想を強みにした地方特化型の宿泊施設開業支援・運営代行サービスだ。画一的なモデルに頼らず、物件や地域ごとの魅力を引き出す改修と集客で成果を上げている。
地域、物件の魅力引き出す
一軒家を改修 年商400万円の宿に
北海道・洞爺湖近郊。家賃相場4万円ほどの一軒家を改修し、宿泊施設として再生した物件がある。もともと使われていた家具は修理し、広い庭はドッグランとして活用。ニセコまで車で約40分という立地特性を踏まえ、インバウンド(訪日外国人)向けに「ニセコ観光の拠点」という明確なコンセプトを打ち出した。その結果、年間売り上げは約350万〜400万円規模にまで成長した。この事例を手がけたのが、長崎市に拠点を置くEnagicだ。
約100㎡の裏庭はドッグランに改修した
2023年より運営しており、2階建てのうち1階部分の82㎡を貸し出す。料金は1泊あたり3万円前後。2人での利用を基本とし、1人増えるごとに5000円を加金する。改修費や開業のための準備費用を含めた初期投資は約1250万円で、利回りは28%程度だ。
建物外観
同社が掲げるミッションは「地方を開国せよ」。地方で稼げる仕組みをつくることを目的に、旅館や民泊を一つの産業として成立させることを目指している。同社の特徴は、その成り立ちにある。民泊運営代行会社が不動産会社や清掃会社を母体とするケースが多い中、同社はウェブ制作・マーケティング事業からスタートした。地方企業の魅力や強みを言語化し、サイトやコンテンツとして表現する事業を行う中で「地方にはまだ引き出されていない価値が多い」(大友拓海社長)と実感したことが、現在の事業につながっている。
大友社長は、野村証券での勤務を皮切りに、ITスタートアップでの経験を積み独立。証券会社時代には、富裕層顧客の資産運用や相続相談を通じて、不動産が資産形成や税務と密接に関わる現場を数多く見てきたという。その後、IT企業でマーケティングや事業の拡大を経験する中で「地方の再生」を事業の軸に考えるようになり、長崎市での起業を決断した。




