髙松エステートは、管理戸数のさらなる拡大と収益基盤の強化に向け、多角的な施策を推進する。既存物件の一般管理からマスターリースへの切り替えを進め、売上高と利益は堅調に伸長。加えて、既存オーナーから買い取った物件の再販事業を通じて富裕層顧客を開拓する。
売上過去最高の313億円、利益率10%
受託戸数3万7600戸に伸長
髙松エステートは髙松コンストラクショングループで賃貸管理をメインに行い事業を伸ばす。
賃貸マンションを中心に3万7614戸(3月末時点)の管理を手がけている。昨今の資材価格や建築費の高騰を背景に、新築賃貸マンションの供給は鈍化傾向にある。こうした環境下で、同社は既存物件の管理戸数拡大と収益性の向上を目指す。
業績は堅調だ。2024年度の売上高は289億3900万円だったが、25年度は過去最高の313億9100万円を達成。同社として初めて300億円を超えた。営業利益についても31億9700万円となり10%という高い利益率を維持しながら、2年連続で30億円を超えた。
売上高を伸ばしている最大の要因は、一般管理からマスターリースへの切り替えを積極的に進めている点にある。
小松晋治社長は収益構造について「管理会社はサブリースを行っていれば、売り上げが大きく落ち込むことは少ない。ただしリスクを伴い、赤字物件もある。一棟一棟きめ細やかに収支を見ていきつつ、社内で借り上げへの切り替えを進めてきたことが、売り上げを押し上げた大きな要因だ」と説明する。
マンションオーナーの高齢化が進む中、清掃などの維持管理やクレーム対応といった家主業に対する負担感は増している。同社はこうしたオーナーに対し、自社によるマスターリースを提案。オーナーの手間の軽減と安定収益の確保を支援している。髙松建設で施工したRC造の物件については、最長50年の借り上げを保証。長期的なサポート体制を整え、借り上げへの移行を促している。
紹介で富裕層の顧客を開拓
管理戸数拡大のもう一つの柱が、物件の買い取り再販事業の強化だ。同社に委託するオーナーが、物件を売却する動きが活発化してきた。その背景には相続対策や事業承継への不安、次世代への負担軽減がある。
同社はこうした物件を直接買い取り、再販する事業に注力している。25年度は大阪府で5棟を仕入れた。24年度には東京都で約16億円の大型ファミリー物件を販売した実績もある。
26年度は再販事業単体で30億円の売り上げを目標に据える。再販事業は単なる不動産売買にとどまらず、新たな管理受託の機会を創出する役割も担っている。
その一つは富裕層顧客の開拓だ。金融機関の紹介などを通じ上場企業の経営者といった資産家に物件を再販。売却時の条件として同社による管理継続を取り決めている。
購入を機に顧客となった富裕層が所有する他の物件を受託したケースも出てきた。富裕層顧客の開拓が将来的な管理戸数の増加につながるとみる。
加えて、髙松コンストラクショングループ内の連携も管理拡大を後押しする。
グループ企業の経営トップが集まる会議での交流がきっかけになっている。グループ会社の社長からの紹介により、都内で複数棟を所有する法人からまとまった戸数の案件を受託するといった成果も上がる。
コンサル型営業へ転換を加速
賃貸管理を取り巻く環境が大きく変化する中、同社はオーナーに対するコンサルティング機能の強化を重視している。従来の空室対策や入居者対応といった建物中心の管理にとどまらず、資産の運用や承継の方向性を提示することが管理会社に求められているとみる。
小松社長は「これまで賃貸管理会社は建物・入居者管理を担えばよかったが、それだけでは通用しない段階に入っている。顧客であるオーナーのマンションを今後どうしていくのか、その道筋を示す相談相手であることが重要だ」と指摘する。
セミナーでオーナーとの接点を強化
同社は東京都の拠点において、コンサルティング担当と管理担当を分業化。オーナーの課題や意向を的確に把握する体制を整えている。
オーナーの状況を把握する具体的な取り組みとして、家族信託の提案を活用している。次世代のオーナーと早期に接点を持ち、将来の資産運用について対話する契機とする。「家族信託は一つの手段。それを通じて次世代のオーナーと対話できることが重要だ」
対話を重ねることで、潜在的な売却ニーズやマスターリースへの切り替え意向を的確に捉えることを目指す。
髙松建設との連携強化も、管理拡大において重要な要素とみる。同社は髙松建設の新築営業担当者と同行し、新規案件の獲得を進める。髙松建設が受注に至らなかった他社施工物件についても、管理業務のみを受託するケースもある。不動産会社への訪問営業を通じて、他社が建築した既存物件18棟318戸の管理を一括受託するなどの実績もある。
「親会社に依存ばかりせず、視野を広げて市場を見ることで、ビジネス機会はまだ多く存在する」と小松社長は手応えを語る。25年度の受託案件のうち、他社の既存物件は1168戸に上る。こうした積み重ねが将来的な管理戸数の増加を支える基盤となっている。
(2026年6月1日11面に掲載)





