「住みたい部屋」で長期入居へ
東海エリアを商圏とするニッショーは、コンセプト賃貸シリーズ「&room(アンドルーム)」の第14弾として、茶室付きリノベーション賃貸を企画した。茶道を楽しむためだけではなく、自宅での落ち着いた過ごし方を提案する。築年数を重ねた賃貸住宅に新たな価値を付加し、「この部屋に住みたい」と選ばれる住まいづくりを目指す。
同シリーズは2021年に提供を開始。「住む&楽しいコトができる」をテーマに、シアタールームやトレーニングルーム、純喫茶風の住戸など、暮らし方そのものを提案するリノベを展開してきた。同社の管理、リフォーム、広報・ウェブ部門など約10人で構成するプロジェクトチームが毎月アイデアを持ち寄り、シリーズの企画を検討している。
今回のテーマに茶室を選んだ背景には、心を落ち着かせる場所の必要性を考えたからだ。マーケティング部の服部光一朗課長は「茶道そのものを推奨したいわけではない。余計なものを置かず、自分と向き合える空間として茶室という発想にたどり着いた」と話す。
今回の企画は25年10月ごろに立案。コンセプトに適した空室を管理物件約9万6000戸の中から探し、オーナーの理解を得て事業化した。対象となったのは築33年の物件で、居室全体をフルリノベ。茶室の設計では、愛知県犬山市にある国宝茶室「如庵」を参考にしながら、賃貸住宅に落とし込めるよう独自のアレンジを加えた。障子には伝統技法「石垣張り」を採用し、施工できる職人を探して依頼するなど細部まで本格的な仕上がりにこだわった。
茶室までの廊下も本格的に造作した
間取りは2SLDK、募集賃料は9万3000円だ。入居者ターゲットは30〜50代を中心に、仕事や子育てなどで忙しく、自分だけの時間を求める層とした。茶室内には電気炉を使用できるようコンセントも設け、茶道経験者にも配慮した。日本文化に関心を持つ外国人からの需要も見込む。
同社は、コンセプト物件を長期空室対策としても位置付ける。築古物件でも差別化による賃料アップや長期入居につながる効果を期待しており、これまでの&roomシリーズもほぼ入居済みだという。「エリアや家賃から部屋を探すのではなく、『この暮らしがしたい』『この部屋に住みたい』と思って選ばれる住まいを増やしたい」と服部課長。新たなコンセプト物件を年2〜3件、継続的に展開し物件だけでなく暮らし方を提案するブランドとしての認知拡大を図る。
(2026年8月10日2面に掲載)





