関連会社と合計で賃貸住宅720戸を管理する岡不動産(埼玉県加須市)は、管理物件においてデザイン性の高いリノベーションを施し、差別化を図る。結果、同社の認知度が向上し、管理受託を伸ばす。約10年間で、管理戸数は200戸増加した。
話題づくりで管理受託に結実
主力事業は売買仲介。次いで、賃貸管理、賃貸仲介となる。商圏は、埼玉県加須市。家賃のエリア相場は5万〜6万円。加須市について岡雅英常務は「郊外のため、デザイナーズ物件を建てても、賃料を大幅に上げることが難しい。そのため、デザイン性の高いリノベ事例が盛んなエリアではない」と分析する。
そんな中、同社では、社員が所有する管理物件をメインに、間取り変更やアクセントクロスを使用したリノベを進める。本格始動した2011年ごろから22年までのリノベ実績は11件になった。
岡常務は「当社のリノベは、話題づくりを目的とする。1戸のリノベに費用を250万〜300万円かけても、回収に4〜5年かかる。収益面でのメリットは大きくない。広告費と捉えている」と話す。
効果として、オーナーから管理委託の相談が増えた。リノベに注力してから、年間20戸のペースで管理戸数を増やしている。リノベした物件は、募集から平均1カ月以内には入居が決まっており、管理物件の入居率は90%台を維持する。
新たにリノベを完了し、1月から募集を開始した物件では、和室の2LDKを1LDKに変更。元の和室の雰囲気を生かした畳の小上がりを造作した。上に布団を敷いて寝室としての利用も可能だ。リノベ後の家賃は、駐車場代も含め1万5000円アップの6万5000円で募集。2月上旬時点で、数件の問い合わせがある。
「エリア内でも空き家は増加傾向にある。当社のリノベ事業のノウハウが、管理物件の空室活用から、ひいてはエリア全体の空き家問題の課題解決にもつながることを目指していく」(岡常務)
(2023年2月20日7面に掲載)