管理大手がシェアハウス運営に本腰
その他|2017年02月13日
入居者コミュニティ形成スキルの向上図る
入居者コミュニティの形成が賃貸住宅運営で注目される中、シェアハウス事業に大手が本腰を入れ始めた。
東建コーポレーション(愛知県名古屋市)は年内着工を目標に名古屋市内で30~40室規模のシェアハウス建築を計画している。
住宅メーカーのミサワホーム(東京都新宿区)もシェアハウスのオリジナルブランドを立ち上げ土地活用提案の一つとして注力している。
収益不動産の企画、建築から管理までを受託する企業が賃貸住宅の空室率が上昇する中、新たな差別化戦略として、シェアハウス事業を展開していくようだ。
【東建コーポレーション】アクティブシニア向けを計画
東建コーポレーションの第1号物件については自社所有で、新築し運営する計画で動いている。
入居者は従来の若年層とこれまで例の少ないアクティブシニアをそれぞれ対象に企画している。
アクティブシニア向けのシェアハウスでは、「高齢者が介護を必要としたときに福祉施設で共同生活をするケースが多いことから、健康なうちに楽しみながら住居をシェアする環境を提供したい」と社長室企画部の佐藤和嘉部長は語る。
シェアハウスの運営を手掛けることで、入居者との接点が増え、賃貸住宅に対するニーズをくみ取った管理、運営の実績を積んでいきたい考えだ。
土地活用の商品を拡充したいミサワホームもまた、シェアハウスの運営を内製化する。
収益不動産の価値を維持するために、従来の家賃集金や建物の保守、メンテナンスなどの管理業務から、入居者のコミュニティを育むソフト的な運営業務に踏み込みたいと考えている。
同社が展開するのは女性専用で、ブランド名は『Belle Philia(ベル フィリア)』。
16年3月に開設した1棟目のシェアハウスは、ミサワホーム不動産が所有している。
運営を専門会社と共同で行いながら、将来的に自社のみで運営できるようノウハウを構築している。
「土地活用を提案する企業として、作って完了ではなく、運営までワンストップで提供したい」と管理担当者は語る。
【共立メンテナンス】4月首都圏で2棟120室を開設
学生寮や社員寮の運営を手掛ける共立メンテナンス(東京都千代田区)は4月、首都圏の2拠点に計120室ほどのシェアハウスを開設する。
入居者のコミュニティ形成によって物件の差別化や付加価値の向上をすることができるシェアハウス事業に、これまで主力としてきた学生寮や社員寮の運営ノウハウを生かしたい考えだ。
共通の趣味を持つ入居者をターゲットにしたコンセプト型のシェアハウスで、それぞれ自転車とアウトドアをコンセプトにしている。
東京都小平市花小金井の約40室は自転車、千葉県柏市南柏の約80室はアウトドアがテーマだ。
夏には埼玉県川口市西川口で70室程度のランニングを趣味にしている人向けのシェアハウスを開設する。
水回りやリビングなどが共用のシェアハウスの担い手は、機敏性のある中小零細企業が主役だった。
しかし大手企業は、ブランド力によってオーナーや入居者に安心感を与えることができるため、シェハウス市場に開拓の余地を感じている側面もあるようだ。