高齢者専用住宅が注目を集めている。
東急不動産（東京都渋谷区）は高級高専賃「グランクレール成城」（東京都世田谷区）を９月17日にオープンした。同社が手掛ける高齢者向け住宅としては９棟目で、高専賃「グランクレール」シリーズでは都内初の物件となる。部屋数は79戸。７月下旬から一般募集を開始し、現在予約は約４割だという。人気エリアである東急線沿線やその周辺に照準を合わせ、入居者を獲得。同物件も、成城という高級住宅地での上質な暮らしをコンセプトにした。
物件は来年３月にオープンする介護付有料老人ホーム「グランクレール成城ケアレジデンス」（33戸）も併設し、万が一介護が必要になったときにも対応可能になる。部屋のタイプはワンルーム～３ＬＤＫ。２人で入居することも可能だという。
入居初期費用は月払いの場合年齢に関わらず１３５５万７０００円～で、賃料は46万２５００円～。一括払いを選択すると、費用は入居時の年齢によって異なる。80歳の場合は初期費用５７７７万円～、75歳の場合は初期費用６８１０万６０００円～、月額費用は14万３５００円だ。
三野工業（岐阜県大垣市）は10月１日、女性専用の適合高齢者専用賃貸住宅「サンレディふじえ」をオープンさせる。
入居対象者は、健常者から要介護度１程度までの60歳以上の女性に限定。居室のキッチンのほかに自由に利用できる広めのシステムキッチンや入居者が家庭菜園を楽しめるスペースを確保するなど女性を意識した設備が施されている。共有キッチンに隣接した共同団談話室は多目的スペースとなっており、生け花教室などイベントやレクリエーションの場として活用していく予定だ。
建設・運営を手がける同社伊藤大介専務は「女性同士で気兼ねなく会話を楽しんだり、趣味に興じたりしてもらいたいです」と期待を寄せる。
また、居室には24時間緊急時対応システム（ナースコール）を設置し入居者の安全を確保する。バリアフリーの居住空間、オール電化など高齢者に配慮したつくりになっている。
月額賃料は７万円、共益費２万円、健康相談など生活支援サービスが２万円。初期費用は敷金３カ月分、礼金１カ月分。
高専賃への入居を促すセミナーも行われている。
大学不動産ＯＢ会会員を中心に発足された高齢者住替支援ネットワーク（東京都新宿区）は９月14日・18日に「後悔しない〓 老後の計画セミナー」を東京文化会館で開催した。相談者や業界関係者など約30人が訪れた。
セミナーは２部立てで、第１部は青柳法律事務所の青柳周弁護士による「"損＂をしないための『高齢者の財産管理』」と題して、高齢者の結婚・離婚・相続など、実際に相談を受けた事例を用いて説明を行った。第２部はみんかい東京北相談室の斉藤弘毅室長が講師を務める「知っておきたい『有料老人ホーム活用術』」というタイトルで老人ホームの選び方や見学時のチェックポイントを解説した。
同会は、民間介護施設紹介センターみんかいと提携して、高専賃や老人ホームなど高齢者向けの施設への入居を契機に資産や住居の見直しを促進する取り組みを行う。
不動産業者、弁護士、税理士、司法書士、１級建築司、ファイナンシャルプランナーなど、各分野の専門家が集まって発足している。現在のメンバーは13人。案件ごとにメンバーがチームを組んで提案・対応を行う。相談は無料で、案件に関しては個別に契約する。
広がりを見せる高専賃事業。入居者、運営者双方の注目を集める。
