コロナ禍の賃貸市場への影響は?エリアルポ~沖縄編・前編~

中部興産, 住宅情報センター, 徳里ハウジング

企業|2021年07月20日

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 全国で最も持ち家率が低く、借家の割合が49.5%と大都市圏並みに高い沖縄県。観光地としてにぎわいを見せる同県だが、新型コロナウイルス下で賃貸住宅の市況はどうなったのか。県内の地場大手を含む管理会社6社とオーナーを取材した。

宮古島、コロナ打撃で移住者の解約続出

 県の統計課によると、6月の県人口は145万8870万人で、5年前より2万5995人増加。世帯数は2020年6月で66万6859世帯。この5年で5万6730世帯増えた。賃貸住宅の着工戸数は、13年度の1万1720戸をピークに減少傾向にあり、20年度は5445戸だった。地域性としては台風が頻繁に通過するため、住宅の8割を鉄筋コンクリート構造が占めるのが特徴だ。

中部興産、入居率約98%と安定家賃は値上がり傾向

 県内全域で10店舗を展開し、1万5900戸を管理する中部興産(沖縄市)では、コロナ下における外出自粛に伴い管理物件の退去者が少なかった。仲介成約件数は前年比で横ばい。管理物件の入居率は現在97.8%。県内の平均入居率88.3%と比べて高い水準を維持しておりコロナ禍の影響はほぼなかったという。

 管理する物件は、1Kから1LDKの単身向けが65%、2LDK~3LDKのファミリー向けが35%を占める。人口増加に伴う世帯数の増加から、特にファミリー向け物件では退去が出るとすぐに埋まる傾向があり、需要の高さがうかがえる。

 建築費の高騰による家賃相場の上昇は、コロナ下でも続いた。新築の家賃が高いため、県内で人口の多い那覇市、浦添市、沖縄市では退去があると、とりわけリフォームや設備導入を行わず、家賃を2000円ほど上げても入居者が決まるという。

 知念彰人執行役員は「現在も県内全域で家賃の上昇が続いている。数年前に設定した家賃だと現在の相場より安いため、退去時には家賃アップをオーナーに提案する場合もある」と語る。

 コロナ下では、観光客の激減により、運営していた民泊や簡易宿泊所の売り上げが見込めなくなったオーナーが、物件を賃貸住宅に用途変更するといった相談も相次いだという。一方、大手のリゾートホテル開発が進むなど、アフターコロナを見据えた動きもみられるようだ。

 

住宅情報センター、観光関連退去相次ぐ 空室10倍に拡大

 その一方、観光業が中心の離島エリアではコロナ禍の影響が顕著に表れている。宮古島を中心に1万3066戸を管理する住宅情報センター(沖縄県宮古島市)では、コロナ下で管理物件に空室が目立つようになった。コロナ前は平均20~30戸だった空室が、現在約200戸と例年の10倍に増加。観光客の激減により、本土から出稼ぎに来ていた観光関連企業やホテル、建築会社に勤務する従業員らの解約が相次いだことが原因だ。管理物件には県外からの労働者も多く入居していた分、打撃を大きく受けた。

 県外からの移住者を見込み、賃貸住宅の建築・開発が進められていたが、コロナ下で人気が高かった新築にも空室が目立ち始めている。宮古島店の佐藤久夫店長は「当社が管理する単身者向けの36戸は新築だが成約は7戸のみ。コロナ前では、新築は市内から離れた立地にあっても県外の人を中心に竣工前には満室に近い状態になっていたが、状況が一変している」と語る。

物件の外観写真

36戸中7戸が成約

 管理物件の家賃相場は現在、単身者向けで6万円台もあり、10年以上前と比べると2万円近く高騰している。離島への輸送、職人不足による建築費の高騰などが原因だと考えられるという。空室が目立つようになった物件は、コロナ前では行ってこなかった家賃の値下げをオーナーに提案する場面もあった。

 一方で、賃貸仲介の成約件数は地元住民の住み替えもあり減っていないという。県外からの移住者の退去が相次いだことで、需要が高かったファミリー向けの物件への問い合わせが増加した。「コロナ前からファミリー向けの物件が足りず、地元住民は空室が出るのを待つ状況が続いていた。ただ、最近は月に10件ほど県外の法人から部屋探しの問い合わせが入るようになるなど、今後、下半期で状況が変わるかもしれない」(佐藤店長)

 

徳里ハウジング、オーシャンビュー物件に関東から住み替え満室

 本島中部エリアで1170戸を管理する徳里ハウジング(沖縄県中頭郡)では、県外の移住者や米軍属向けに建てたオーシャンビューの管理物件50戸が満室稼働中だ。20年春ごろに、特に関東から沖縄に転居する動きが見られた。

 物件は、広さ2LDKで家賃18万円前後。バルコニーから海が見渡せる美浜エリアに立地し、成約者の半数が県外の経営者など、残りが県内の米軍基地に勤務する軍人だ。

 同社は、海沿いの美浜エリアと、米軍基地だった敷地が県に返還されて誕生した内陸に位置するライカムエリアで物件を管理。2LDKのファミリー向けが多い。また、管理物件の割合は、米軍属向けと日本人向けで半々を占める。コロナ下では、退去が減り、日本人向け物件の空室は現在2~3戸程度だという。

 民泊を賃貸住宅に転用したオーナーから管理を受託するケースが、コロナ下で10件以上あった。

 渡嘉敷努専務は「管理エリアでは、リゾートホテルの開発も見られる。また、県外のハウスメーカーが木造の賃貸住宅を建て始めるなど、コロナ下でも開発事業は活況だ」と語る。

(7月19日7面に掲載)

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